青木双風

　余計な装飾を排した簡潔な文章で読みやすいのですが、薄い印象は全くありません。状況描写だけであるにもかかわらず、それらが正確に配置された仕掛けのように、登場人物の心情を表しています…続きを読む

　何も起こらないお話です。でも、泣きました。 　美しい思い出があって、その上に静かに時間が積もっていく。物語のキーパーツであるスノードームと、穏やかな主人公の人生が、美しい暗喩によ…続きを読む

嘘は重大な罪悪である。 この物語は虚偽罪という罪を犯し投獄されたある男を中心に展開していく。「嘘は悪いこと」という子供でも分かる論理を広げれば、なるほどこのような解釈もできるのかと…続きを読む

旅立つ者と、留まる自分。バスの待合所で美しく悲しい対比が描かれる。 私が暮らす湿った世界と、私が憧れる乾いた世界。 しなやかに動き出す旅人たちと、器用に振舞えない私。 踏み出す者と…続きを読む

男が、殺してしまった妻の死体を始末する話。 「取り憑かれる」というのは怪談では常套句ですが、この言葉の持つ恐ろしさを改めて考えさせられます。どれだけあらがっても全てが徒労に終わり、…続きを読む

ここにいる優しい言葉は常に自分を待っていてくれるように思います。 自分なりに精いっぱい頑張って、傷ついて帰ってくると、優しい言葉をかけてそっと送り出してくれる友人のような、安心感と…続きを読む

少ない文章の中に凝縮された恐怖があります。無駄が無いけれど要所は押さえているため、想像力をかきたてられます。作者さんの「空いた隙間にすぐ読める。空いた隙間に気付かれる」という紹介文…続きを読む

一話一話が短すぎず長すぎず、ああ怖い話が読みたいな…と思ったときにスッと怖い世界に誘ってくれる、綺麗な文章のお話です。まぁ自分の場合、全部一気読みしてしまったので短いも長いもないん…続きを読む