一話一話が短すぎず長すぎず、ああ怖い話が読みたいな…と思ったときにスッと怖い世界に誘ってくれる、綺麗な文章のお話です。まぁ自分の場合、全部一気読みしてしまったので短いも長いもないんですけど。もっと落ち着いて長い時間をかけて楽しめばよかったと後悔してます。
新米教師が慣れないながらも不器用に子ども達と関わって行く中で、当たり前として日常にあった風景が一変する終盤が秀逸です。学校とは子どもにとっての日常でありながら、同時に非日常的な異界の入り口でもあった。その境界性の曖昧さと不気味さを新米教師の視点で描かれていて、ふと自分の子ども時代を思い出して懐かしくなる。そんな作品だと思います。