私は長年お猫様の下僕として生きてきた。
それは現在進行形であるが故、この先の未来も、お猫様と一緒の屋根の下で暮らすものだとばかり思っていた。
が、
なんと息子氏が若干猫アレルギーだということが判明。
(生まれたばかりの頃、実家でお猫様二匹に囲まれて過ごしてきたというのに……)
お猫様をおうちにお招きすることをあきらめて数年過ごしてきた。
だが! しかし!
床の上に気高き毛玉様が動いていないのが、大変さみしかった。
唯一の毛玉は、旦那さんのすね毛のみ。
「かわいいねえ、かわいいねえ」
とひょろっとした毛をなでてみても、私の心は当然満たされない。
だって、成人男子の片足だもの。
ああ、毛玉にうもれたひ。
毛玉様をお世話したい。
ひれ伏したい。
そんな思いをひめたまま、先日動物園に行った。
ふれあい広場という場所で、動物について学んだあと、
我々はハツカネズミ様とモルモット様に触れることが許された。
元々、ハムスターかモルモットを飼いたいな~と息子と話しており、
今回は、旦那さんに許可をとるべく、
実際に触れ合わせてみるという試みであった。
「いや、俺は世話しないけど。飼っていいってば。俺は世話しないけど」
が口癖だった旦那さん。
膝の上にモルモット様がやってくると、彼は突然悶え始めた。
「グッ……」
その手がふわっふわの毛に触れる。
「かっ……///」
「飼っていいよ」
大成功である。
生き物を飼うと決まれば、その動物について知らねばならない。
「モルモットは、一日にうんちを200個します」
私がそう言うと。旦那さんは顔をしかめる。
「考えなおそうか」
「モルモットのうんちなんて、人間に比べれば消しカスみたいなもんだから。木の実かしら、って思う程度だから」
そう言い聞かせて、
ようやく!!
我が家にモルモットの赤ちゃんがやってきた。
もっふもっふしている。
たいへんかわいい。
かわいさがカンストして、壊れてしまいそう(私が)
こんなに小さいのに、親から離されて販売されていることに
胸を痛めつつも、自分もその行為に加担しているのだという申し訳なさもあった。
だから、せめて長生きできるように
めちゃくちゃ幸せなモルモットにしてあげようと思った。
そう思ったのは、どうやら私だけではなかったようだ。
旦那の様子がおかしい。
彼は飼育書を読みふけり、自らそっせんして掃除をし、
室内の温度管理を徹底する飼育員に変貌をとげた。
仕事から帰ってくれば、
ゲージの前で床に這いつくばって、モルモットを観察している。
「見ていてあきない。かわいすぎる」
最近はそれしか言わなくなってしまった。
「動画をとりたいけれど、スマホをむけたら驚いてしまうのではないか」
「(俺が仕事にいっているあいだ)さみしくないだろうか」
「はっ! 俺のほう見た! かわいい!」
あんなに、飼うことを渋っていたくせに溺愛っぷりがすごい。
ラノベの展開ってリアルにあるんだという姿をまざまざと見せつけられた。
そんな私もモルモット様にめろめろであり、
昨日はゲージの前で静止し、彼女をずっと観察し続けた。
じゃがいものようなまんまるBODY。
黒くて小さな耳は、きくらげのよう。SO CUTE。
そして、時々飛び跳ねる。
ポップコーンジャンプというらしいが、なんとすばらしいネーミングセンス。
たべてしまいたい。
「ぷいぷいぷい」
モルモット様はそう鳴く。
高級な陶器のお皿を、磨いているような音。
なんて愛らしい鳴き声なのだ。
だが、私はまだモル語を未履修のため、
その鳴き声が喜んでいるのか、警戒なのか、さみしいのかわからない。
「ぷいぷいぷい」
モルモット様が鳴く度、私も
「ぷいぷいぷい」と鳴く。
すると、永遠に
「ぷいぷいぷい」
リレーが起きる。
一体、なんと言っているのだろうか。
「見てんじゃねーよ、散れ」
とか言われていたら、どうしよう。
泣く。
ところで、モルモットを観察していて思いついた物語がある。
人外2体に飼われることになった腐女子
という意味不明な短編である。
こんなことしている場合ではないだろう!
と思いつつも、妄想が止まらない。
モルモット様はどういう気持ちで、人間のことをみているのだろうか……。