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「ジャクリーンの腕」投稿しました&覆面作家企画後書き

カクヨムWeb小説短編賞向けに、「ジャクリーンの腕」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054887761459)を投稿しました。
生身とほぼ変わらない義手義足が現実となった近未来、義手の元ピアニストと、とある秘密を持った義肢見習の交流のお話です。

この作品は、夏に行われた「覆面作家企画8」(https://hkmn8.tumblr.com/)に提出したのを加筆したものです。当時、小説家になろうでの連載に追われていてちゃんと参加しきれなかったので、今さらながら、この場を借りて企画後書きを記させていただききます。以下、テンプレートをお借りします。作品のネタバレを含むので、未読の方は一応ご注意ください。


      * * *


■作者名 Veilchenです。

■B03 「ジャクリーンの腕」
■SF/ヒューマンドラマ
■精密義肢師のフィリップとその弟子のクリフは、元ピアニストのジャクリーンを訪れる。事故で片腕を失った彼女は、義肢によって復帰したものの、生身と機械の演奏を比べて取り沙汰する世間の噂に耐えかねて引退していた。気難しい彼女に対するのに、人の心の機微を読むのが苦手なクリフは不安を抱いていたのだが――

■意気込みテンプレを使用された方は、URLを教えてください。
企画サイトの掲示板に上げています。
http://hkmn.php.xdomain.jp/freo/index.php/view/5

■作品のネタを思いついたきっかけは?
手→義肢、という連想。感想でもご指摘いただきましたが、パラリンピック等で義肢の性能が成績を左右することとその是非を巡っての議論を見たことがあること。ボーカロイド。義肢(義体)のヒロイン、ということで攻殻機動隊の草薙素子大佐からも影響を受けたかもしれません。

■ストーリーの構築において気を使った点、苦労した点などあれば教えて下さい。
クリフの正体について嘘を吐かないように、でもバレないように気を遣って描写しました。個人的な嗜好として、まだ人間らしすぎると思うので不完全燃焼感は残っております。戸惑う、期待する、等々感情があることを示唆する表現は極力使いたくなかったのですが、代替の表現を吟味する時間がなく……。アンドロイドというものは、人間の目で見るから感情があるように見えなくもない、くらいの感情のなさが好みです。
ジャクリーンの過去、フィリップの評価、クリフの立ち位置等、情報量も説明パートも多い作品になってしまったので、無理なく伝えられるように頑張りました。

■削ったエピソードなどありましたか? 作成裏話歓迎です。
初稿段階では8600字でした。ジャクリーン宅に向かうふたりのやり取りのシーンから始まって、車内のデバイス等で近未来感を演出しようとしていたのですが、要らないなと思って削除、ヒロインの名前を投げ込んで始まる現在のオープニングになりました。
オチの説得力のため、彼の非人間性の演出のため、更に冒頭にクライアントに出禁を言い渡されるクリフのシーンも書きたかったというか書いた方が良かったのでしょうが、字数制限によって断念しました。

■その作品の続編または長編化のご予定は?
ありません。
ある意味、今回カクヨムに掲載したのが続編になるでしょうか。いただいたご感想や参加者の方とのやり取りも踏まえて、初稿段階の内容とはまた異なる加筆をしたものです。

■その作品で気に入っている箇所はどこですか?
感想でも何度か触れていただきましたが、ジャクリーンの最後の台詞「ええ、私は最初から私よ。ずっと、ね」です。

■推理期間中、褒められた点は?
AI好き、アンドロイド好きの方の嗜好に刺されたのは嬉しかったです。キャラクターも概ね好評なようで良かった! どんでん返しのつもりはない、むしろこじんまりとした作品のつもりだったのですが、転がされた、的な感想を幾つかいただけたのは意外な喜びでした。

■推理されてみて、いかがでしたか?
隠れたつもりはなかったのですが、会話文前後の改行でほぼ特定されたのは驚きました。もう少し文体や作風から攻めてもらいたかったなあ、と。とはいえ、マイページからそこまで掘ってくださった!? と驚くような作品から推理していただいたこともあり、嬉しかったです。もしも次回があるなら、もっと隠れて探偵さんの奮闘を見てほくそ笑みたいなあ、とも思います。行空けはもちろん、――も封印して……といいつつ、更に逆を突いて偽装しないとはもちろん限らないのですが。

誰も言ってくれなかったので自分で言いますが、今回最大のヒントは「タイトルロール」とのシリーズ名でまとめた作品群だろうと思っていました。各作品に関連はないですが、「タイトルにヒロインの名前を冠する」「周囲から見えるものとは別の精神を持つ/想いを抱くヒロインを描く」という共通点のみでシリーズ扱いしているものです。今回のジャクリーンの腕もこのシリーズに入れるつもりで書きました。
ちなみにシリーズの一作品「永遠のエレオノーラ(https://ncode.syosetu.com/n4743di/)」は、アンドロイド、世間の評判とは無関係に凛と立つヒロイン、など、ジャクリーンを気に入ってくださった方には刺さるかもしれないのでよろしければぜひ(ダイマ)。

■あなたの作品だと推理された作品はありましたか? / あなたの作品が他の方の作品だと推理された作者さんはいましたか?
ホラーも書くという情報から、於來見沙都さんの「―― ス・ガ・ル・テ」では、と森崎緩さんに推理していただきました。

■推理してみて、いかがでしたか? / ■あなたの正解率、どのくらいでしたか?
過去作品も拝読した上で語彙や文体で推理、ができれば良かったのですが、諸事情によりできなかったのが残念です。作品を拝読したことがある方については、先行探偵さんたちからのカンニングも交えつつ、当てることができたので嬉しかったです。

■この企画に参加して、改めて気づいたことはありますか?
そんなに癖のない文章のつもりで、癖だらけだったんだな、ということ。作者の嗜好や思想、性癖は作品にも文章にも滲むということ。活動している場所によって、改行空行等の作法が大きく異なるということ。

■参加作品の中で印象深い作品をあげてください。
全作品を読めていないのですが、読めた範囲で……
Aブロック三樹さん作「最果ての巫女」 美しい文章にひたすら酔いしれました。
Cブロック冬木洋子さん作「プディヤの祈りは銀の蝶になって」世界観の作り込み、幼く純粋な想いに惹かれました。
Eブロック森崎緩さん作「キズアト」これは私が書いたのか!? と思うくらいに好みの要素が満載でした。好きです。

■参加作品の中で印象深いタイトルの作品をあげてください。
上述のプディヤはタイトルも美しかったですね。
Bブロック篠崎琴子さん作「マリー・アントワネットの手を取って」興味がある人物なので目を惹かれました。
Eブロック天崎剣さん作「機械細工職人と機械義手」タイトルから分かるネタ被りにgkbrしたものです。


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カクヨムコンには、長編ホラー「のりこさんによろしく」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054887761122)でも参加していますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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