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マウリツィオ ポリーニの死を悼む


 ポリーニが死んだ。グールド、ミケランジェリ、ホロビッツ・・・。偉大なピアニストたちの死を僕らは何度経験させられるのだろうか?亡くなって欲しくない人々は鬼籍に入り、亡くなっても構わないような戦争好きどもが生き残っている。世の中は矛盾だらけである。
 陰でこそこそ悪口を言っていたようなえせ評論家たちが掌を返したように哀悼の言葉を述べるのは聞きたくない。だがポリーニの録音、取り分け廃盤となっているバッハとかドビュッシーとか、幾つかのベートーベンのソナタは是非再発売して欲しい。ブラームスの2回目のコンチェルトも是非。
 出先でこのニュースを聞いて家に戻り、僕はアルゲリッチの弾く葬送行進曲を聴いた。もちろんポリーニのものも持っているのだけど、50年前に買ったレコードで、同時代を生きたもう一人の天才ピアニストが弾く哀悼の響きを無性に聞きたくなったのだ。
 あの付け加えられたような不思議なメロディの最後の音をアルゲリッチほど優しく弾き終えるピアニストはいない。

Arrivederci, Maurizio

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