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「女性の政界進出」@Japan 草?「としよりの戯言」号外編

 自民党女性局の派遣団がパリに行って観光旅行擬きの写真をアップし、炎上した。視察に行ったのだから仕事をしている写真と思いきや料理やらエッフェル塔の前で「浮かれぽんち」の格好をした写真なのだから炎上しても仕方有るまい。炎上と言うより自爆である。
 女性局長の松川るい参議院議員は写真を削除し、軽率だったとわびた。だが一緒に行ったタレント議員は税金を使ったのではなく「党費と自腹」だと主張している。
 ホリエモンは批判を「貧乏くさい国民の嫉妬」だと断じ、「いきなりアウトプットを出せと言われても国民全員が納得するようなレポートを出すのは無理」と擁護した。その上で「議員の活動が萎縮」とか「こんなことぐらいで批判されて炎上されて(して)つるし上げられるのかと思って“あ~ やっぱり議員なんかなりたくないな“と思った人すごい多いと思うんですよ」と、のたまわった。らしい。
 ほとんど間を置かずして自民党の茂木幹事長は女性議員の割合を30%にするために「桁が違う支援」を行うと発表した。

 申し訳ない。全てが笑止千万である。
 外国へ行く議員が男性であろうと女性であろうと「殆どのケース」において日本の政治家の外国への派遣は「観光旅行」である上に「現地の大使館にとっては迷惑な遊び」であることは自明のことである。故に「女性」だからといって批判される謂れはない。男も女も同じである。また写真をアップしたことが軽率なのではない。写真を削除すれば良いという話でもない。勘違いも甚だしい。
 いきなりアウトプットを出せと言われても国民全員が納得するようなレポートを出せというのは無理、という擁護はいろいろな意味で「困った人間」のコメントである。そもそもこういう下らない視察がずっと(現在完了形で)アウトプットを出してこなかったから日本における女性の社会進出がちっとも進んでいないわけである。今時、岩倉使節団の真似をしても仕方ないし、そんな時代でもないのである。
 その上、「国民全員が納得する」ものなんてそもそも「存在し得ない」ものを誰も要求していない。つまらぬレトリックである。世の中にはホリエモンが「逆張りをして炎上商法をしている」とみる人もいるようだが、たぶんそれは違っていて、この人は「国民という愚かな集団」が嫌いなのである。別に擁護していると言うより「自分が嫌いな愚衆」が突き上げている「自民党女性局」は自分の側なのだ、と思っているのだ。おおよそ、この人の発言はそういう単純な構図で見ると理解できる、たいして深みのない条件反射である。残念ながらおっしゃる「こんなんでやっぱり議員になりたくないと思う人間」には議員なんぞになって貰っては困る。
 とはいえ、本当に問題を解決するために知見を得るというのであれば外遊をすることは否定できない。いや、正しい方法であるとホリエモンでなくてもそう思う。確かに外遊をしても観光旅行程度の成果しかない人間もいれば(殆どがそうであるが)、素晴らしい成果を出す場合もいる。一方では、もう忘れた方もいるかも知れないが、外遊して統一教会の会合に出席したような輩もいる。こんなのは国益にとってはマイナスである。つまり外遊について一概に論じることは出来ない。
 しかし、ホリエモンが何を言おうと「党費と自腹で行ったんだからいいでしょ」というアホがいるので全てはぶち壊しである。つまり「(自民党さえ許してくれれば)何のアウトプットもない、観光旅行で構わない」と言い切ったのだからもう、草、なのである。で、自民党と言えば、そういう議員になるような女性を「桁違いに支援」するのである。困った人たちだ。
 正直言って、「国民という愚かな集団」は男性でも女性でも好いから「まともな議員」が欲しいのである。せめて、「その程度はお願い」、とそんなのを選んでしまった(比例代表は対象外だが)ことを自嘲しつつ祈っているのだ。

 日本の政界では女性の進出が遅れている、と言われている。世界で160位、先進国とは思えない数字である事は確かだ。比較的女性議員の多い参議院で23%、地方全体で11.6%、地盤が物を言う衆議院では僅か9.7%。確かに日本の女性の社会進出も政界進出も遅れているが、それを遅らせる要因の一つはこうした出来損ないの女性議員がいるからではないだろうか?
 自ら首を絞めてどうするんだ?と思わせるような男より過激な反LGBTQ議員、アイドル芸能人崩れの浮かれポンチ議員、そうした存在が女性議員に対する失望に繋がっているのだ。だいたいこんな写真をネットに載せるというのは相当に頭のネジが緩いと思われて仕方有るまい。載せなければ良いというのではないが、気軽に載せちゃうところを見ると想像力も自制心も欠如しているとしか思えない。
 いや自民党を批判しているのではない。どの党でも大なり小なり同じ事が起きていると思う。いや、多少進んでいる産業界でも同じようなことが起きているのではないかと懸念しているのだ。というのも、必ずしも望ましい形で女性が社会進出をしているように思えない形跡があるからだ。男性社会に媚びることによって進出する女性、というのはやはり少し疑いの目を持って見なければならない、というのは政治社会を見ても会社を見ても明らかなのである。
 真面目な女性議員がいることは確かである。都や区などの地方議員の中にはきちんとした考えを持って活動している人もいる。そういうのを全てぶち壊して「なんちゃって女性政界進出」は作られていくのだろうか?

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