宿長「えー、シーズンもオクトーバーとなりまして、オーディエンスの皆様方におかれましても、心地好いオータムをお迎えに…」
パの字「話しが長えよ。普通に喋って貰えないっすか」
宿長「いや、そういうリクエストをされても、当方としましては至ってノーマルなスピーチを心掛けておりまして、その」
プの嬢「宿長さん、こんな朝早くに集合ってなんなの?」
宿長「そんなアーリーモーニングでもなく…」
パの字「あ、宿長、今なんか隠したろ。怪しいな」
宿長「実はとっておきのプレゼンが御座いまして…えー、こちらのアートを皆さんに観覧して頂きたく…」
パの字「おお、サの字じゃん。それ画伯が書いたん? いつの間に?」
プの嬢「しかも、またまた額に入っているし」
宿長「これはスペシャルな仕様でして、オーディエンスの皆様方は、すらすらっとスクロールして頂きまして、まず、下のほうに添付されているものを観て頂きたいかと」
パの字「宿長、訳がわからないこと言ってないで、だから、それ、画伯じゃなきゃ、誰が描いたん?」
宿長「えー、ちくわ天。さんです」
プの嬢「今、途中で句点が入ったようだけど」
宿長「固有名詞だからリスペクトするんです。それは良いとして、ちくわ天。さんは、本格ファンタジー『ノイエラント』の作者でもあり、こちらの作品は非常に面白く、今は国づくりの良いところで、主人公たちも更に躍動しております。URLも呪文風に付けたりして
https://kakuyomu.jp/works/16817330654964429296」
プの嬢「あれ、パドゥメちゃん、話しが長いって突っ込まないの?」
パの字「御礼がてらの宣伝だからね。そこは長くても良いんだよ」
プの嬢「パドゥメちゃんが忖度するとは!珍しいこともあるのね」
パの字「そこは、さらっと流していこうぜ。でもさ、ちくわ天。さんの絵が額縁に入ってるのは分かるんだけど、なんで背景が青空なん?」
読書眼鏡「それは異邦の寫眞という技法にござりまする。絵を額に納め、それをキャメラという器具を用いて撮影したという次第」
宿長「本編ではラストにすっかり忘れられた眼鏡くん、説明、サンクス」
パの字「本編とかメタっぽい発言、やめて貰って良いですか」
プの嬢「何だか分からないけど、素敵ね。サフィちゃん、起こしてこようか」
パの字「いや、やめたほうが良いぜ。朝早く起こすと、すっげえ不機嫌で面倒になるし。で、そのさ、額に入れて寫眞ってのを作ったのは誰なん?」
仙人「それは、世界の創造主。別名、座付き作家とも言い表わされておるのじゃ」
パの字「おお、びっくりしたな。仙人、寝てたんじゃないのかよ」
プの嬢「ちょっと待って、仙人さん、何か様子が変だわ。ついに悟った…違うわ、取り憑かれているみたい」
仙人「帽子をとくと御覧《ごろう》じろ。少々、様子が異なる。これは某ファイナルフ○ンタジーⅨのビビちゃんの帽子と似てるのじゃ」
プの嬢「ええ…仙人さん、会話の中に伏せ字と二重ギュメを織り込んできた。これは凄いことよ」
パの字「訳わかんないぞ。帽子の色が違うってのは分かった」
仙人「元々は、この色の帽子に変える予定もあったのじゃ。つば広の黒い帽子は古里から出て直ぐ、道中の町か村で買ったもの。それを無くすエピソードを入れる予定だったのでしゅ」
パの字「何の話しなん。仙人は一体誰に身体を乗っ取られてるん?」
仙人「風に飛ばされて帽子を無くす…しかし、取りに行けば良い。造作も無かろう。ならば、吊り橋を渡る最中に突風で飛ばされ、深い深い谷の底に帽子が舞い落ちる」
パの字「それ、ふわっと舞い降りて帽子を取り戻せるじゃん」
仙人「故に、なかなか帽子を無くすパターンが思い付かず、ここまで来たという次第じゃ」
宿長「えー、各自、発言は短めに、簡潔にお願いします」
パの字「まあ宿長、仙人の話を聞いてみようぜ」
宿長「パドゥメさん、態度が違い過ぎませんか。なんで当方だけ毎回…」
仙人「要は、ちくわ天。さんの絵は想定していた状況を予見し、先回りしていた、と。また、この寫眞、緑っぽい丘の頂上は第九話のラストシーンを模して撮影したものなんでしゅ」
パの字「喋り方が怪しいぞ。仙人、誰に乗っ取られているんだよ」
読書眼鏡「まこと胡乱な輩。其奴、東国などにおわす河童なる妖に相違なきと見受けまする」
パの字「え、妖ってことは、お化けなん…」
プの嬢「たいへん、パドゥメちゃんが泡吹いて倒れた!」
読書眼鏡「おのれ河童奴、成敗してくれる」
サの字「あー、煩いなあ。起きちゃったよ。こんな明け方から何の騒ぎ? パドゥー、寝てるしさあ。んん? 大河、池、湖…違う、何か沼の底の匂いがするんですけど。これはまさか、グリーンな童子!」
仙人河童「また会ったでしゅ。でも、おいらは別の個体でしゅ」
サの字「別個体? そうなんだ。あれ、その絵は何? 私じゃない。これ、君が持って来たの?」
仙人河童「その辺の説明は難しいでしゅ」
宿長「えー再会を祝して、この辺で。まあ、とっ散らかったまま終わるのも近況ノートの仕様といえば仕様でして。で、いっぺん言ってみかったんですよね、これ。じゃあ、最後に。話しが長えよ!」