ラストに向かって一気呵成に筆を進めていた「鬼と天狗」。
遂に、下書きは脱稿しました!
いや、ホントにこの作品は書く方も難しかったです(^_^;)
まず第一に、案外二本松藩側に「天狗党討伐」の時の記述が残されていないこと。そのため、たとえ幕命があったにせよ、「討伐」の動機づけにはかなり悩みました。
次に、物語の起点について。
これも、主人公を鳴海にするのは最初から決まっていたのですが、史実通りの記述にすると、ただの「勧善懲悪」モノのチープな作品になってしまうので、工夫が必要だった次第です。そのために、二本松藩の記録には絶対に出てこない「藤田芳之助」に、着目してみました。
ですが、出だしはともかく、そこから水戸藩の政情や国政の政情、そして二本松藩の京都警衛を絡めつつ、自然な展開にしていくのが難しかったのは、言うまでもありません……。
特に、文久3年(第2章)の二本松藩は、「京都警衛」についてさらっとしか触れていないにも関わらず、国政の上ではいくつもの事件が起こった年でした。
正直に言えば、第2章の作話が一番しんどかったです……。
そして、途中でオーダー者からの掌返し(苦笑)があったにも関わらず、
・大谷志摩も苦しんだであろう、文久2年の麻疹流行を描いてほしい
・三浦権太夫に関連して、彼の祖父が活躍したエピソード(嶽山崩れ)も紹介して、祖父をリスペクトしていたような記述を入れてほしい
(→これは、第三章の「嶽の出湯」の冒頭などで書いています)
・部田野合戦で戦死した朝河安十郎の死に衝撃を受けた木村銃太郎が、出府して江戸遊学を決意した……という流れがあったらいい
(→終章で書きました)
などのかなりの無茶振りの要望を、全て取り入れました。
お人良しだなあ……というよりも、作者のプライドとして、これらの要望については、意地でも取り入れて書き上げたかったんです。
多分、オーダーを出した人はころっと忘れていますし、もう読んでいないでしょうけれど。
ちなみに、カクヨム版は19日に完結です。奇しくも、二本松藩が常州遠征から帰ってきた日(18日)とほぼ同じタイミングとなりました。
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後は、多分別途気分転換で書いた「志摩と成渡」の小話も、同じ作品の巻末につけると思います。
とにかく、途中で色々とあったにも関わらず、最後まできちんと書き上げた自分を、今は褒めたいです(笑)。