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芳之助の壮絶な最期

「鬼と天狗」において、鳴海と対極的な位置にいた藤田芳之助。
この人は登場回数が多くはないものの、割と最初から構想に入っていた人でした。

https://kakuyomu.jp/works/16817330661491248711/episodes/16818093087732926320

二本松藩関連の資料(二本松藩史、市史、寺院物語など)には一切出てこないものの、散切隊関連を調べると登場する人で、気になっていた次第です。

ただし、その生い立ちの詳細についてはわかっていません。剣豪藤田三郎兵衛の孫という設定も、二本松藩史に掲載されている藤田三郎兵衛の来歴をヒントに、練り上げたものでした。

https://kakuyomu.jp/users/K_Maru027/news/16818093086999279787
https://note.com/k_maru027/n/n876240cf0311

ですがnoteでも書いたように、後から芳之助自身も「旧水戸藩士として扱われていた」などの情報も出てきて、かなり複雑な事情を抱えていそうな気がします。

その彼が二本松を脱藩し、田中愿蔵の元に身を寄せたにも関わらず、散切隊の一同と「棚倉藩の剣豪を訪ねる」と申し立てた真意は、何だったのか。

結局、二本松藩士としての身元が割れていることなども併せて考えると、やはり二本松に戻りたい意志があったのではないか……というのが、私の推測です。
その一方で、国事犯として追われる身となり、剣豪として一矢報いたい思いもあったのでしょう。
そんな矛盾する感情を抱えたまま八溝山から下山した結果が、あの最期だったのではないでしょうか。

***

相対する鳴海の感情についても、決して「勧善懲悪」の書き方にはしなかったつもりです。
そんな旧知の壮絶な最期を見届けた鳴海が、国元に戻ってどのような結論を下したのか。
次話「凱旋」では、その結末について見届けていただければ、幸いです。

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