「鬼と天狗」の第二章がまだ手つかずにも関わらず、こちらを先に公開しました。
文字数にして、大体25,000字ほどの短編です。
作品説明にもあるように、当作は、私が笠間市之進のご子孫様からお伺いした話をベースに、白沢村史に収録されていた談話を絡めた話になります。
実は、この米沢藩にまつわるエピソードは、二本松藩史を始めとする郷土史には、登場しません。
私も「鬼と天狗」の執筆のために、二本松藩史・市史・東和町史・本宮町史・白沢村史などなど、かなり広く史料に当たっているのですが、どこにも出てこない話です。
もしかしたら「密命」として市之進が遣わされたために、歴史の闇に埋もれた話なのかもしれません。
密命を下した人物は私の推測ではありますが、誰であれ、当時の二本松の切迫した状況がうかがえるのではないでしょうか。
市之進の名前は、あまり身分が高くなかったこともあり、ややもすれば見落としてしまいます。
ですが、このような二本松藩士も確かに存在した。
その史実に思いを馳せていただければ、幸いで
す。
篠川 翠