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執筆日記 真似できないの巻

やっと「15」が書けた。

これは1600字、原稿用紙4枚ほどだが理不尽な展開が入っているので書きにくかった。しかし何とか最後まで書いたので、後で推敲して調整する予定。

ところで毎日、少しずつ書いていると、自分の書いているものは結局、「筋」の面白さに頼っているのだという点がはっきりしてくる。

それだけを成立させるのだって大変なのだが、世の中には「物語性」「登場人物の魅力」「緻密な描写」「新奇な情報」といった要素以外で読者をひきつける種類の、何とも言い難い魅力を持った小説がある。そっち方面の小説を急に思い出した。

その一つが自分にとってはグリーンの「ヒューマン・ファクター」で、これは筋が分かっていても読み返したくなる。

もう一つは谷崎潤一郎の「細雪」で、これは不思議なくらい大きな事件がなく、お見合いばっかりで、せいぜい合間に台風が入るくらいである。

いずれも前々から「何がどう良いのか、説明できない」という思いがしている。もちろん文庫本でも単行本でも全集でも、それなりに解説的な文章は付いているのだが、それでも何だか納得しきれない何かが残る。

どちらも長編なので、抽象的に言うと「小説世界の厚み」とか「雰囲気」とか「多面性」で片付けられそうだが、それで割り切れるものでもない。

ああいう真似のできそうもない、手がかりさえ掴めないような小説の魅力とは何なのだろうか? 

とにかくこの二作は、自分にとって謎であり続けている。

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