「高島平」を含む小説

ぼくたちは夜明け前の屋上にいる。団地の屋上から、ぼくたちは明日を見つめる。 さよなら、すれ違いばかりだった、ぼくたちの風たちの日

みずから死ぬことを選んだヒロミを、助けることはできるのだろうか。 いや、助けなければならない。二人のためにも。

マンモス団地の高層屋上でたたずむヒロミ。それを思いとどまらせるには、どうしたらいいか。 そうだ。あれしかない。ぼくが得意とする、あれ、だ。

絶望の中で、一縷の望みがあった。それはヒロミが晩秋の上野公園で話してくれた彼女のこだわりだ。 ヒロミ。早まるんじゃない。ぼくは必ず、おまえを見つけだす。

深夜の環状七号線。ぼくはオートバイを走らせた。 あの日にほんとうの、ピリオドを打ちたくて。

ツーリングから帰ってくると、自宅で待っていた女性がいたという。その女性の名前はヒロミ。 昔別れたとき約束した言葉「ダメになったら、オレんとこ来いや」 「どこにいたって、迎えに行っ…