「短編（掌編）」を含む小説

概念的な「花」をモチーフにした散文詩風の生活に根差した作品です。不思議系。作者の私にも詳しいことはよくわかっておりません。すみません。

白い部屋に始まり、白い光に還る。 眠れない夜、かかってきた一本の電話。 画面の向こうで笑う「君」は、本当にそこにいる？ 自販機の前の缶コーヒー談義。 その笑いの中に、ふと混じ…

　それは、単なる「逃避」ではないと言えるか？ 　自身の「好き」と向き合って、掘り下げた末に……。 　公式自主企画「この夏、あなただけの“好き”を届けよう」参加作品です。

暗闇にうずくまる少女の前に、謎めいた紳士が現れる。ランタンを頭部に持つその人物は、少女を迎えに来たという。 ささやかで切ないふたりの一幕。

　妄県某市某村にあるスーパー“ウーザリングヒルズ"にセルフレジが導入された。 　同村は人口三千人の内、五十歳以上が三割を占める限界ギリギリの僻地である。文明の恩恵も四半世紀遅れて…

大嵐の夜、古い日本家屋でひとり過ごす男の前に現れたのは、人魚の伝説を語る、美しい“誰か”だった。 この夏を、忘れられなくなる——。 🏷️ /夏 /怪談 /人魚 /ノスタルジー

ホームの隙間には、信じられない量の髪がうごめいていた。 それが、あの日の「車輛トラブル」だった。

久々に筆を走らせたものでして。ただの駄文ではありますが。

深夜23時。 布団に入って早2時間。一向に眠気は訪れず、うんうんと唸りながら寝返りを打ち、10分おきにスマートフォンを見たり見なかったりして過ごしている。眠れないなら静かに横にな…

嫌なニュースが多い。 争いだの侵略だの森林伐採だの犯罪者集団だの、ともかく日常が脅かされているような報道ばかりが目につく。難民、孤児、疲弊していく兵士、拡大を続けるソーラーパネル…

番号おじさんは年に一度どこからともなく現れて、通学路を歩く小学生を指さして番号を言う。それだけ。本当にそれだけ？

富永さんの密かな日課は、古い祠（ほこら）の扉を閉じているダイヤル錠を0000から順番に試すこと。3126回目、ついに開いた。しかし次の瞬間――

　娘が死んだ。 　今年で四歳になるはずだった娘だ。 「産まない方がよかったかもね」 　そう言う妻に、かける言葉が見つからなかった。涙すら零せない彼女の心情を推し量る事できず、…

きらきら町は、平成の大合併の際にできた町です。当時の市長が、せめて見栄えのよい名前にしようと、無理くりつけた名前を持っています。巫女も。魔法少女も、ヒーローも、敵役も、全員が苦し…

なにかの原型のような文章たち

今日をなぞるだけの明日から逃げるように、閉店間際の書店へ。煌めく自己啓発本の光に眩暈がして、本の森が作る影に迷い込む。そこで目が合ったのは、棘の鎧をまとった小さな戦士。あなたも、…

喧騒を捨て、古い喫茶店の隅へ。シュワシュワと溶けていく緑の甘い氷は、まるで私の現実そのもの。針の飛んだレコードのように、同じ場所をぐるぐる回る思考。世界から切り離された午後、この…

乾かない服、乾かない心。コインランドリーの低い唸りだけが響く夜。熱を帯びた彼のシャツを手にすれば、曖昧だった関係も、靄のかかった未来も、少しだけ輪郭を取り戻せる気がした。あなたの…

「一緒に死にましょうよ」 　私は恵美の一言に気圧された。川の飛沫に濡れた髪が美しく、恐ろしかったのだ。 「瓶にまだ酒が残っている」 　弾む心音が悟られぬように、努めてゆっく…

人を憎めたら、どれだけ楽だろうか。 友人と仲違いをした時、恋人とすれ違った時、家族に否定された時、僕はいつも腹を立てながらも、離れていく人間に固執し関係を修復したいと願ってしま…