骨と皮
ツル・ヒゲ雄
※1 島の王
その島で私が目を覚ましたとき、まずもって感じたのは眼球を射抜く眩しさ。一拍置いて、朝日だと気がついた。そこは無人のロッジで、皺ひとつない白いシーツのうえで私は眠っていた。そろいの清潔な布団に包まれて。
身を起こし、ベッドの脇にならぶ使いこまれたブーツの紐を縛りあげ、軋んだ音を鳴らす木の戸を開いて外に出た。身体をステッカーみたいに押し潰さんばかりの青空が一面に広がった。目が痛んだ。そしてすぐ足元は断崖絶壁だった。いったい誰がなんだってこんなところに小屋を建てたのか? 足元から崩れた小石が、しぶきを散らす大海原に落下した。だが、波の音以外なにも聞こえなかった。
崖の際を注意深く回りこむと、いくつものヤシの木が眼前に飛びこんできた。細く尖った葉の先まで、生命力に満ち満ちた緑に燃えている。青々とした濃い空によく映えるヤシの木の合間をぬって、見慣れぬ鳥たちが飛んできた。虹色の長い尾羽根を宙にはためかせて。
鳥たちの一羽が爆撃機さながらの鋭さで、背の低い幹にそっと身を寄せ合う熟れたパパイヤに、尖ったくちばしで一撃を見舞った。するとパパイヤは一つ残らず弾けて落ちて、虹色の尾をもつ鳥たちは一斉に群がり、くちばしでついばんだ。果実はあっと言う間に跡形もなくなった。
島を見渡すと、虫も猿も鰐も、ヤンバルクイナだっていた。しかし私は悟った。この虹色の尾羽根をもつ鳥こそが、島の王なのだ。
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