「言えなかった 短編」を含む小説

　明治二十年、雪の降る夜。 　十歳の少女・雪月花は父の借金のために吉原に売られた。 　底辺からの過酷な日々の中、彼女は一冊の本と出会う。 「天は人の上に人を造らず人の下に人を造…

中学からずっと一緒にいた春川悠と私。 なんでも話せる親友だけど、「好き」だけは言えなかった。 大学生になっても変わらない距離感。 けれど、夕暮れの駅前、いつものベンチで交わした…

駅前ビルの三階にある喫茶店《Les Variétés》。 選びきれないほど豊かなメニュー、少し気取った空気、静かに流れるジャズ。 そこに集まるのは、言葉を探している人たち。 言え…

南加子は恋人の時川勝に「好き」としか愛情表現できない。 彼らは関係性が不安定になっていき……。

　短編「指先が電動マッサージ機になる異能が目覚めたら」の隠しプロローグになります。 　回収されない部分がありますが、キャラの掛け合いを楽しんでいただけたら――

「ねえ、聞いてる？ 私だよ、ミカコ。…いや、かつてミカコだった『何か』かな？」 ここは2077年、無限に広がる情報（デジタル）の海。私は肉体を捨て、意識だけの存在――まあ、カ…

高校生の秋田希美（あきたのぞみ）は、ある日突然、母・瑞稀（みずき）から「アイドルを目指す」と告げられる。34歳の母の無謀な挑戦を止めるつもりが、なぜか自分までオーディションを受け…

これを語るるにはつまらない男たちの話ばかりで、さながら僕が観測するに至るには「お話」として言うには情報量が無いものだとは思う。とは言え、情報の問屋として訊ねられたのなら答えは用意…

【Pink Rose】 あなたが起きる、その前に。 　プロポーズに失敗した「俺」は、朝ごはんを作る。 ちょっとした何気ない日常。 それが一番の幸せだ。 今日こそきちんとする。 昨…

春、別れと始まりが交差する季節――。 「卒業」を前にした高校生活最後の数日、彼と私はお互いに言えない気持ちを抱えていた。 笑い合いながらも、心のどこかで「別れ」の足音が近…

1st【嵌められたスパイ】 その愛は仕掛けられたもの――意外な結末にきっと貴方も騙される。 英国諜報機関MI6のスパイであることを隠し、ベーカー街の下宿で暮らすロビン。彼はある日…

僕の妹は苛めを受けている。でも、周りの人たちはそれに気がついているくせに助けようともしない。 よくある話だ。 そして、僕も人のことは言えない。いつだって、妹を苛めている奴らをただ…

かつて夢を追っていたが、今は家庭と仕事に忙殺される日々を送る女性・篠原真希。大手出版社の編集者として、そして一人の母親・妻として、完璧に生きようとする彼女は、心の奥に小さな違和感…

インフルエンサーを目指す春が、ある日の母親との衝突によって一人暮らしを始める。しかし、母親に毒を吐いてまでも自分一人で生きていこうとする強い思いがあったにも関わらず、彼女はそこで…

　四十歳の誕生日、会社員の三上里奈は母の死後、不思議な衝動に駆られてインドのバラナシへと旅立つ。母の最期の言葉「人は死んでも、母なる大河に還るだけなのよ」の意味を求めて。 　聖地…

この国では、死者は花に変わり、遺された者たちの祈りを受け止める。 主人公の少女・想花（そうか）は、一週間前に母親を失い、深い悲しみに沈んでいた。母親は通勤途中に事故で亡くなり、想…

女装する夢を見続ける男子高校生の加賀。 そんな夢を見てしまうことに戸惑うある日、文化祭の演劇『ロミオとジュリエット』でジュリエット役をすることに。 役として、女性ものの衣装を身に…

みちこは中学生の頃から「飛行機が落ちる夢」をよく見るようになった。高校の頃、夢占いに詳しい友達に相談したところ「欲求不満を表すんだって」と告げられる。それ以降、その夢を見るたびに…

◆愛称をＵＳＡ島（うさじま）と言ううさぎの夢がいっぱい詰まった島の管理をしている小原麦（おはら・むぎ）は、ホームページでうさ島新聞を更新していた。 ある日、管理人宛てではなく小原…

現実世界で妖精って言えば、クリオネ！でクリオネの実態は…って感じで、無邪気な子ども目線（のつもり）で描いてみました。９００字チャレンジ三回目です。一応、SFホラーかなあ？