少しずつ暖かい日が増え、春の気配を感じる季節になりました。
新しい生活の準備を始める人もいれば、これまでの日々を振り返る機会が増える時期でもあります。
そんな季節にあわせて、今回の特集では「卒業の春、旅立ちの物語」をテーマに作品を集めました。
学校生活の終わりや友人との別れ、そして次の一歩へ――学生たちがそれぞれの変化のときを迎える物語をご紹介します。
春ならではの空気を感じながら、この季節の読書をお楽しみいただけましたら幸いです。
本特集に選ばれたレビューをご投稿いただいた方には、3月中に500円分の図書カードをお送りいたします。今後とも、素敵なレビューのご投稿をよろしくお願いいたします。
レビューが上手く書けません。
書きたくても書けないことが多く、手が止まることもしばしば。
踏み出してはひっこめて、結局、諦める。
そんなことを繰り返しています。
でも、それはレビューだけじゃありません。
大人になると、色んなことを諦めがちになります。
それが当たり前になって、始める前から無意識に言い訳をして、真正面から向き合わなくなる。
それって、勿体ないことなんですよね。
この物語の登場人物は、高校生です。
多感なお年頃で、子供でも大人でもない。
何者にもなりきれない、彼ら彼女らのお話です。
『生徒会』という青春小説ではよく見かける設定が軸になっています。テンポは良いです。でも、ライトノベルのように軽くはありません。時の流れも言葉も物語の中に根付いていて、私たち読者に彼らの迷いや苦しみ、そして、希望をダイレクトに伝えてきます。
決して短い話ではありませんが、筆者さまのエールが詰まった素敵なお話です。
少しずつでも良いので、触れてみてください。
そして、読み終えた時あなた自身の表情を鏡で覗いてみてください。
きっとそこには、過去に置いてけぼりにしてしまった『あなた』がいて、今の『あなた』を笑って迎えてくれている筈です。
そして、こう言うのでしょう。
――おかえり、と。
いいお話だった。読後感はそれに尽きる。
物語は、小学校で三バカと呼ばれる三人の男子が女子の藤井さんに「好きです」と告白をするところから始まる。
藤井さんは、思春期で恋バナが栄養の他の女子とは違ってあまり恋がぴんと来ていない女の子。
彼女はとりあえず友達として、三人と小学校生活を過ごすようになる。
僕がこの話で一番印象に残ったのは、三バカの個性が際立っていることだった。
三バカはそれぞれ、三方向にバカだ。それも、憎めない爽やかなバカである。
このバカさは、小学生男子の持つ、幼さだったり元気さだったりする。
作者はよくここまで練り上げて書いたと感嘆した。
そして一方で、物語が進むにつれて藤井さんが恋について悩み、知っていくことも、面白さの一つだと思う。
この話は徹底して、小学生の恋愛を書いている。しかし、小学生の恋愛描写がチープに映らないのは、作者がちゃんと大人の目線で俯瞰した恋を丁寧に紡ぎあげているからだろうと思う。
だから僕は、小学生特有の神聖視されがちだった恋の純粋さにきゅんとしてしまったし、同時に彼らの成長を楽しみながら追えた。
そして、どこまで行っても今を楽しむ小学生の時のキラキラを、思い出しながら物語に浸れたのだと思う。
昨今、ドロドロとしていたり深い恋愛を好みがちな皆様も、あの日の自分に戻って、あった恋を、あってほしかった恋を追体験してはいかがだろうか。
是非読んでいただきたい一作です。
この美しい話を語るのは桜の木である「わたし」。
色取り取りの鮮やかな花がたのしめる花壇から、ちょっと離れたこんなところに咲くわたしを見つけてくれたのはフラワー委員に選ばれた男の子。
新入生と見紛うくらいに小柄な男の子との出会いの春。
梅雨が明けてやっと晴れたその日に、彼が涙を流した夏。
落葉の季節、思い出した頃に彼が訪れてくれる秋。
彼が「わたし」の前で思いを告げた冬。
そして、彼らを見届けた春へと――。
その一年は「わたし」にとってあたたかで、でも苦い一年だったかもしれません。
彼と過ごした一年間、彼が語ってくれた様々な思い、そして彼が歌ってくれたあたたかでうつくしい音楽。
「わたし」の心情に触れたとき、「わたし」がただの桜の木には見えなくなっていることでしょう。
彼よりちょっと年上のお姉さん、彼のお母さんくらいの女性、あるいは人生のたのしいこと辛いこと苦いこと、そのすべてを経験した老女。心に浮かんだ「ひと」はどんな女性でしょうか。ハッピーエンド、それとも?
ぜひ、この物語に触れて、心地の良い時間を過ごして頂きたいです。
卒業式の翌日、小学生6人組が自転車で旅立つ「卒業旅行」。それは単なるサイクリングではなく、一人ひとりの成長を促す、忘れられない冒険の始まりでした。
瑞々しい感性やユーモラスな会話、そして困難に立ち向かうひたむきな姿に、きっと心を奪われるでしょう。気がつけば、あなたも7人目の仲間として、彼らと共にペダルを漕ぎ、心を揺さぶられる追体験しているかも知れません。
友情、勇気、そして未来への希望が詰まった、まさに名作です。