カクヨムコンテスト11、作品をお寄せくださったご参加者様も見守ってくださった読者様も本当にお疲れ様でした! そして本当にありがとうございました!
……先月の私の手番が結果発表直前だったことから凄まじく出遅れてしまいましたことを先にお詫びしまして。審査側に参加させていただいた私も様々な出会いの中で多くの経験と開眼をさせていただきました。そこで以前お話いたしましたSFジャンルのおもしろさをぜひともお伝えしたく、今月は「女子×SF」をテーマに4作品をご紹介させていただきます!
昔から良作・名作の多い組み合わせではありますが、SFというものの幅は現代に至ってVRゲームやファンタジー要素などをも取り込み、さらに大きく拡がっておりますよね。その幅広さを知る今このときの書き手のみなさまが女子を組み合わせて書いたらば、いったいどのような作品が形作られるものか? 実に胸躍るじゃあありませんか! というわけで、現代女子SFの妙味をみなさまもぜひ楽しんでいただけましたら。何卒よろしくお願いいたしますー。
コミュ障が祟って大学受験失敗した夜長わらびへ、βテスト参加していたVRMMO『クロス・ファンタジア・オンライン』から声がかかった。スキルとセンスを生かしてレイドボス“冥々の眠り姫”をやらないか? かくて幼女(!)のアバターを与えられた彼女だが、サービス開始直後故挑戦者がおらず暇を持て余し――レイドエリア開拓を開始する。
女子がレイドボスに就任する導入からもう巧み過ぎて掴みばっちりな本作、主人公のわらびさんが物語の芯になっている点がいいんです!
リアルでの弱々しさとゲームでの理不尽さ、人間の多面性というものが垣間見えることもおもしろいのですが、彼女のレイドボスとしてのキャラ作りやエリア開拓にもまたその一面一面が効いています。自信がないから圧倒的な力を持て余す。プレイヤースキルが高すぎて最凶存在として君臨してしまう。こうした人間味がこの上なく際立って、彼女を輝かせているのですよね、
悪役令嬢もの的な様式をレイドボスという切り口から掘り込み、押し出したその斬新さ、ぜひご体感ください!
(「じょしえふ!―女子×SF―」4選/文=髙橋剛)
オオカミ人のマルゲリータとウサギ人のコンプレットは冒険者であり、バディである。とある隊商の護衛を担ったふたりだが、ワイバーンを引き連れたドラゴンと遭遇して……かくてバディとその周囲の者たちが織り成す賑々しい物語が幕を開けた。
なんといってもリズムがすごい! 会話劇をセリフだけに任せずキャラクターのしぐさや描写を足していく描写スタイル、まさにリズムを刻んでスピード感を魅せるという、言ってみればコマ割りの妙を文章媒体で実現しているのですよ。
各コマ=マルゲリータさんやコンプレットさんの一挙動がダンダンダンと重ねられ、怒濤のごとくに畳みかけてくる特濃の臨場感――息をするのを忘れかけるという希な経験をさせられてしまいました。
そして。芝居味のある長台詞やゆるゆるな日常劇がまた、圧倒的に“急”なリズムをメロディアスな“緩”で和ませている点も見逃せません。この緩急の圧倒的落差、それこそが本作の魅力と申せましょう。
読み出せば一気に惹きずり込まれること間違いなしの女子活劇ですよ!
(「じょしえふ!―女子×SF―」4選/文=髙橋剛)
機獣すなわち怪獣に襲われた女子高生は対機獣ロボット“ガーディアン”に保護され、コクピットにかくまわれたのだが……助けてくれたパイロットが機獣の攻撃で気絶! 絶体絶命の状況で女子高生が選んだ起死回生の一手とは、そう。緊急でスレ建てしてネット住人に助言を求めることだった!
本作は某掲示板形式、すなわちレス形式で進行していきます。鉄の棺桶と化したロボの中で機獣と対面している彼女と、彼女の文字をモニタで眺めている住人、その温度差がもうたまらんのですよ。
どんどん追い詰められていく中でマシンガンレスする主人公と、冷静に指示を出したり茶化したりなんだりかんだり自由に口を挟む住人。この応酬が実況掲示板をリアルタイムで追う臨場感、速度感を匂い立たせている。そしてそれがあるからこそ、序盤から大きく動く物語が「モニタ越し」の距離感を醸していて、住人が味わっているリアルの一枚裏側にいるあのリアリティを魅せてくれるのです。
主人公よりスレ住人一同へ共感してしまう、女子高生スレ主の悪戦苦闘傍観記です。
(「じょしえふ!―女子×SF―」4選/文=髙橋剛)
夏美は情報通を自認する女子高生。が、そのプライド故にある失敗をしてしまう。そんなときだ。雑貨屋にてかけるだけで噂がデマかマジかを決められるようになるという“デマジ眼鏡”と出遭ったのは。眼鏡の力を使い、彼女は自信を取り戻す。加えて周囲の人々の幸せを手助けしていくのだが……
不思議アイテムで一変する日常、少女×SFの王道ですよねぇ。かくて騒動が巻き起こるわけですけれども、設定語りはありません。主人公の夏美さんを中心としたキャラクターの心情や関係性、その動きに集中する形で物語は進んでいくのです。
心を鷲掴まれたのは、著者さんの筆が容赦なく突きつけてくる青春時代にありがちな独善性とそれがもたらす不幸の辛(から)さと辛(つら)さ。そしてそのただ中で夏美さんが自らの行いに苛まれ、そしてきちんと反省した上で前を向く――タグにある“寓話”性を浮き彫った成長劇の快さと爽やかな読後感です。
短いお話なのですが本当に無駄がなくて、物語性の高さに加えて小説的機能美も魅せてくれる。おすすめ以外に言葉なしの一作です。
(「じょしえふ!―女子×SF―」4選/文=髙橋剛)