5月29日に発表された「次の流行は、ここから始まる。」カクヨム10テーマ小説コンテストの「次にくるテーマ賞」として、骨太ダークファンタジー部門が選ばれました。
今回、骨太ダークファンタジー部門で選考委員を務めたくろぬかさんが、ピックアップした作品の講評をご紹介します。

ピックアップ

童話の様な流れで、なるほどなと思わせる黒いお話。

  • ★★★ Excellent!!!

短編という形を使い、提示情報を最小限に抑えた上で、それこそ童話の様に流れと結果だけを見せて来る雰囲気。
登場人物のほとんどが人形であるというのも、グロテスク表現を描写するにしても上手い避け方だと思いました。
こういう事があった、だからこうした。そこにはこんな思いが詰められていたが、結果はこうなった。
坦々と進む様に思えて、試行錯誤が非常に人間味を帯びている。
どうしても同じ結果に辿り着いてしまう道のりと、その後辿り着いた場所にあったのは、やはり“感情”という不確定なモノ。
それを登場人物たる人形達がどう受け止め、何を成そうとしたのか。
それぞれの思考や想いを抱きながらも、最後には純粋で残酷な結果を導き出すというのは、とても“人らしい”のかなと。
内側から見た時と、外側から見た時で間違い無く善悪の判断が分かれるような、印象深い作品でした。

(「10テーマ小説コンテスト」骨太ダークファンタジー部門 講評4選/文=くろぬか)

悲痛な中に希望を見出す様な、ダークファンタジーと言う相応しい作品。

  • ★★★ Excellent!!!

ジャンル分けというものは、非常に曖昧である。これを大前提として、個人的な意見で言うと。
ダークファンタジーはグロくて非道、ではなくて良いと思うんですよね。
あくまでも暗い面を持っている作品であり、それに抗う冒険譚も十二分にダークファンタジーにカテゴライズされるのかなと。
そしてこの作品においては、主人公の憎しみ、周囲の集団認識、環境の劣悪さ。
これ等において黒い面を前面に押し出しつつも、登場人物達の共依存とも呼べる関係性と、抗い続ける姿勢を描いているのが良いなと感じました。
非常に曖昧な表現をするのであれば、“綺麗な形に歪な世界観”であり、そこに抗う依存と共存を描いた人間臭さ。
今回のコンテストの大前提である、『骨太』であり『ハイファンタジー』を強く意識しながら執筆されたのかなと納得出来るものがありました。
提示されたお題に対しての対応力と言う意味でも、評価のポイントかなと。
何より文章が読みやすく、スラスラと内容が入って来る点も良かったと思います。
ダークファンタジーは人を選ぶというのは分かりますが、悪環境に必死で抗う人間というのは、綺麗なばかりの物語よりも美しく見えたりもするものです。
世界観を味わうと言う意味でも、オススメさせて頂きます。

(「10テーマ小説コンテスト」骨太ダークファンタジー部門 講評4選/文=くろぬか)

恐らく多くの人に受け入れられやすいダークファンタジー設定。

  • ★★★ Excellent!!!

一番の評価ポイントとしては、読みやすさ。
スラスラと入って来る文章で、テンポも良いです。
暗い設定を含みながらも、主人公が認められる、逆転系を読みたいのなら間違いないな、と言った感想です。
web小説でありがちと言われそうですが、求められるからこそ数が増えるのは当然の事。
こういったものを上手く利用した状態で、人気所を突いて来たなと思いました。
その上で読みやすい文章を作るというのも難しいのですが、こちらの作品は非常に良かったかなと。
それぞれの登場人物の深掘りをした時に、どんどんと暗い方向へとシフト出来そうなフラグを残しているのも良いと感じました。
それらに対して、覆す力を手に入れた主人公が今後どう行動するのか。
ファンタジー好きな方には、とても読みやすい作品だと思います。

(「10テーマ小説コンテスト」骨太ダークファンタジー部門 講評4選/文=くろぬか)

環境そのもの、自身に降りかかっている現状事態がダークになり得る作品。

  • ★★★ Excellent!!!

私が読んだお話までだと、「ダークファンタジーらしいか?」と言われると少し迷ってしまうかもしれません。
しかしながら、自らの置かれた環境・状況そのものに不安が常に纏わり付く様な、日常の一部にでさえ黒い何かが付きまとっている感情表現が上手いと思いました。
掘り下げて行けば十二分にダークになりそうな要素を含みつつ、不安なままどうにか生活を送っている様な。
今後全部変わってしまうのでは!? といった期待も膨らませてくれる、どんでん返しを警戒してしまうような作品と言えるでしょう。
主人公と共に世界の在り方、現状を探っていく雰囲気のワクワクさせてくれるお話です。
TSモノですので好みは分かれる可能性はありますが、私は好きです。
世界観が広がっていく、肉体の変化に戸惑いながらも順応していくのが純粋に面白いと思わせてくれます。

(「10テーマ小説コンテスト」骨太ダークファンタジー部門 講評4選/文=くろぬか)