特集
5日間の連休も明け、少しずついつもの日常が戻ってきましたでしょうか。
最近は日中に汗ばむような陽気の日も増えてきて、ふとした瞬間に「夏が近づいてきたなあ」と感じる季節になりました。
そんなこれからの季節にぴったりな「ひと夏の青春」をテーマに、少し眩しくて、少し切ない物語を今回は集めました。
夏ならではの出会いや出来事、忘れられないひととき。
この季節だからこそ味わいたくなる4作品を、ぜひお楽しみください。
本特集に選ばれたレビューをご投稿いただいた方には、5月中に500円分の図書カードをお送りいたします。今後とも、素敵なレビューのご投稿をよろしくお願いいたします。
主人公と幼馴染の一夏の恋物語です。
しかし条件付き。
それは、とても残酷な条件でした。
二人が報われても、それが成就することは二度と無い。
面白くて一気に読了致しました。
素敵な物語を追体験させて頂き、ありがとうございました。
あの時、もっと素直になれたなら。
そんな想いが残っていることはありませんか?
小学5年という思春期の入口に差し掛かっていた頃にタイムリープ?した主人公と「さよなら」できずに別れてしまった女の子との甘酸っぱいやりなおしの日々。
最後まで目が離せず一気読みしちゃいました。
結末も素晴らしくて、とても良い気分になれました。
穏やかな瀬戸内の風景の中で、青春の揺らぎと戦争の記憶が静かに重なり合い、生きることの尊さがそっと浮かび上がる物語。仲間や大切な人とのつながりが、航の迷いを少しずつ溶かしていく描写が美しく、読者の心にも柔らかな光が差し込む。過去から受け継がれた想いが、今を生きる若者の一歩を確かに支えていると気づいた瞬間、胸の奥がじんわり温かくなる。
30代半ばになった主人公が思い出すのは、15年前の出来事。浪人生であった夏、予備校の講習で出会った一人の少女との出来事。
彼女は、自分がAIに生成された人工生命体で、夏期講習の終わった翌日の未明に、宇宙船の待つ湘南まで移動しなければならないと言う。
地球から15年の航路の先の惑星まで帰らねばならないのだと。
予備校は東京の市ヶ谷、主人公の自宅は埼玉の戸田。
彼女を湘南・江の島に届けるべく、一夜の、少年と少女の2人のツーリング行が始まる。
SF小説としての土台を持ちながら、小説として描かれるのは、青春の日の仄やかな異性への思情。
あふれる若さとパワーと感受性と、手の負えない未経験を抱えた遠い日々。
そうして、鮮明に、詳細に、リアルに語られる、戸田から江の島までのロードストーリー。
これ、実は、作者の実体験ではないのかとすら疑ってしまう、あふれる追想と臨場感。
2008年と2023年をつなぐ、読む者だれもに何かしらを思わせる時間の縦糸。
夢幻のラスト。
ちなみに、評者は、10代後半から20代後半までを、目黒の八雲や世田谷の三軒茶屋で過ごし、物語で語られるコースの一部は、懐かしくも馴染み深い道路区間になります。
自身の作品にも、しばしば登場させるコース。
読者を、ときめきと切なさと夏の一夜へと導く一編。
SFとしても、青春小説としても、ロードストーリーとしても、珠玉の作品です。
ご一読をお勧めします。