今年も12月1日より第9回カクヨムWeb小説コンテストの応募がスタートします。これに先駆け、前回の第8回カクヨムWeb小説コンテストで「大賞」を受賞した、計7作品のレビューをピックアップしてご紹介します。
果たして前回はどんな作品が受賞したのでしょうか? これからの応募に備えて、レビューを参考にしながら気になる作品をぜひチェックしてみてください。
今年もたくさんのご参加、お待ちしております。

ピックアップ

王道と幸薄な不遇がいい塩梅

  • ★★★ Excellent!!!

固有能力や特殊なアイテムでだんだん強くなる育成系の王道な設定。
だけど、スタートがおっさん底辺ぼっち極貧生活を年単位で浪費してから力に気づく幸薄な展開。
力がなくて自信も度胸もないから、黙々とその日暮らしを続けたおっさんが、力に気づいてからちょっとずつ生活が上向いていくのとそれに応じて周りが見直していくのがいい。

急に変わるんじゃなくて少しずつ落ち込んでた自信とかがついていく過程が見れるし、基本マイペースでのほほんとしているので、たまの幸薄な不遇展開も胸糞までいかなくていい塩梅。

底辺非戦闘職が長すぎて、自分のあがった実力の認識が疎くて、舐められたり、疑われたり、驚かれるのもまた王道で面白い。




世界観が凄い!

  • ★★★ Excellent!!!

この小説は現代社会の中にダンジョンという物が溶け合っています
本来異世界物での風物ですが、この小説では見事に違和感なく存在しています
どこか現実的で.....だがどことなく別世界を匂わせるような
そんな一風変わった雰囲気を楽しむのがこの小説の一つの魅力です
文章も素晴らしく情景がすらすらと頭に思い浮かびます
また空白も所々入れていますので、一度読んだら完結まで止められません!
是非読んでみてはいかがですか?

浮かぶ涙と汗は回帰の証し、誰に裏切られたか思い出して

  • ★★★ Excellent!!!

出来が良い。
展開が良くて興味を惹かれ、読み進めていくことができる。
一番の良さは、駆け引きである。
いかに上流階級の世界を描きながら、現実味を感じられるやり取りが出来ているかで作品の善し悪しが決まる。
その点をわかった上で描けているから、本作は魅力的なのだ。

僕らは偶然のように出会うのさ、運命なんて知らないままに

  • ★★★ Excellent!!!

凝った設定を加えることで、ヒロインのキャラクターを立たせている。
続きが気になる楽しい話である。
設定が斬新である。
登場人物の紹介から推測すると、漫画世界のキャラクター街鐘莉里がタイムリープし、二度目の人生では前回出会っていない水無月彩人と知り合い、新たな高校生活を送っていく話らしい。
主人公の水無月彩人がタイムリープしないところは新しい。
どのようなエピローグを迎えるのか、実に興味深い。

なんと!読むと体重が増えます。気が付けばあなたの手にお菓子があります。

  • ★★★ Excellent!!!

本作品にはこういった要素が含まれています。
・主人公の胡桃さんが作る、た、食べたい!となるお菓子作り描写
・胡桃さんの作るお菓子を食べてくれる甘党男子佐久間さんの最高のリアクション
・少しずつ縮まりながらも…なじれじれ展開
・みんなの心の声を代弁してくれる有能な〇〇〇〇

第1部が完了した今が最高の読み時です。
魅力的な主人公である胡桃さんを取り巻く環境にドキドキする展開ですが心配ご無用!

最後は絶対にハッピーエンドが待っていることに定評がある先生なので、安心して読んでください!
そして胡桃さん佐久間さんと一緒においしいお菓子を食べましょう!!
わたしはいっぱい食べました!!!

※本レビューは第1部完了時点のものとなります。

だれかが見ている、そこにいる。「こわい話、すき?」

  • ★★★ Excellent!!!

 読みやすい小学生視点の語り口や、淡々としている文章がじわじわと想像力を掻き立ててくる絶妙なホラー作品。読んでみた感想はまず「これはすごい!!」の一言。

 主人公のひかりは、転校初日にクラスのアイドル的存在の「ありさちゃん」に「こわい話、すき?」と聞かれ、きらいと答えたことから新しくて楽しいはずの学校生活が様変わりしてしまう。
 家に帰ってもひかりの心安らげる場所はあまりなく、押入れの中にいる「ナイナイ」が心の拠り所のような存在に。

 だけどそんな日常は、ありさちゃんがひかりの家に「ナイナイ」を見に来た日から一変していく——。

 純粋無垢な「悪意」や「怖さ」、そして人の醜さや恐ろしさが幾重にも重なって、真相に辿り着くとゾッとすること間違いなし。
 そこにはどこかやるせなくて、悍ましい真実が隠されているのだけど、登場人物たちのどこか明るい性格や達観した感覚、そして純粋さがドロドロとして見せないところもこの物語のすごいところ。

 章が変わる度に視点が変化するのも見所で、「どういうことだろう?」という部分が後半になるにつれ交差して、綺麗にまとまっていくところもお見事。

 ノープロットでこの完成度、まさに著者の筆力がなせる技でしょう。
 ラストがここに繋がるかー! というのも最高でした。

 ねぇ、あなたはこわい話、すき——?

バランスあります

  • ★★★ Excellent!!!

 物語の舞台は運営の策略によるデスゲームをどうくぐり抜けて生き残るのかというシリアスな設定。その反面、題名はほのぼの。では中身はどうなのかなと軽い気持ちで読み始めました。
 読んでいて楽しいし、面白い。ちゃんとデスゲームから抜け出そうと頑張っている人達もいますし、デスゲームを仕掛けた運営の暗躍?もあります。でも、中心はこうなったら楽しむ方向にと切り替えたヤマモトさんです。そんなヤマモトさんと彼女のユニークスキルのバランスさんが、いい仕事してます。両者の取り合わせが絶妙で、笑いのツボに入ってしまいます。ガンバレ、バランスさん!