だいぶ肌寒くなってきました。コタツからテレワークする今日この頃です。
 ハロウィンは少し過ぎてしまいましたが、今回は「魔女」特集ということで、魔女(魔法少女)がテーマになっているファンタジー作品を集めて参りました。変身したり、空を飛んだり、不思議な力が使えるキラキラしたイメージもある一方で、ヨーロッパでは秀でた能力のある女性を「魔女」と名指して処刑した、魔女狩りの暗い歴史もありますよね。その二面性が面白いわけです。そして、なんといっても「水星の魔女」の大ヒットで迎えた今シーズン、魔女はホットなトレンドです。
 銀色の魔女、白き魔女、星月の魔法少女に、ホワイトウィッチ、どれもワクワクする言葉の響きじゃありませんか? 秋の夜長に、ほかほかのお布団にくるまって読み進めるのにぴったりです。ぜひ、夜更かしのお供にどうぞ。

ピックアップ

緻密な世界基盤に裏打ちされたハイスペックファンタジー!!

  • ★★★ Excellent!!!

死んで、魂になったあと、死神に勝つことで、裏の世界で第二の人生が与えられる。
魂には色があり、その色によって第二の人生の道も決まる。
少女たちは銀色だった。希少種だった。どれくらい希少かというと100年に一度。そんな希少な銀色の魂が4つも同じ時代に現れた。

彼女たちは銀色の魔女の元で魔女になるための修業を積む。
見たものを殺す超強力即死の魔法使い——フラン
光源の確保と料理ができる炎の魔法使い——シルク
通訳と遠隔会話を得意とする言葉の魔法使い——ユイン
なにもできないけれど考え見通すことができる——ギンナ
それぞれの役割があり、その役割を果たすことで、向かい来る問題事を次々に解決していきます。
そして役割は目に見える部分だけではありません。
フランは好奇心旺盛で強気。道を開拓していく力があります。
シルクは温和で利他的。衝突する仲間の緩衝材になってくれます。
ユインは探求心が強く勉強好き。幅広い知識で仲間をサポートします。
ギンナは状況把握能力が飛びぬけて高い。今できることからもう一歩先の未来へみんなを先導します。

外見こそ銀色で統一された彼女たちですが、内面と能力はそれぞれ違ってみんな魅力的。
彼女たちは、それぞれつらい過去を持っており、その表の世界の過去が裏の世界に来ても足を引っ張ります。コンプレックスとなります。
しかし今、彼女たちは一人ぼっちじゃない。仲間がいる。一人では乗り越えられなかった苦悩苦心を、手を取り合って超えていける!

魔法の世界というと、ふわっとした理論でなんでもできてしまう気がしますが、この世界はそうじゃない。しっかりとした理論があり、裏の世界にも社会体系がある。表の世界とは違った基盤がある。その基盤の上に、それぞれが生活を営んでいる。ゆえにリアルなんです。そんなリアルな世界の上で、魔女見習いたちは魔法を使う。だからこそ胸が高鳴るんです。頑張れって応援したくなるんです。

魔女見習いの少女たちの熱い友情物語。
ぜひご堪能ください!!

魔女狩りを主題としたファンタジーミステリ

  • ★★★ Excellent!!!

ミステリ要素のある、魔女狩りを主題にしたファンタジーですが火の魔女編から引き込まれました。
ファンタジーでも謎と解決という様式は、非常に便利で物語を面白くする手段の一つです。
この作品ではそれを効果的に利用し、意外な犯人まで作り出します。
まさか犯人があの人だとは。
魔女狩りといえば冤罪が有名ですがこの作品では善と悪の違いという哲学的なテーマにも踏み込んでいます。
善は何もしなくても善なのか。悪は存在するだけで悪なのか。
その答えはこの物語の先にあるかもしれません。
主人公の頭脳の良さや傲慢な態度、父親の復讐などキャラクターの造形も魅力的です。
何故魔女を殺すのか、その問は主人公だけでなく読者にも問いかけられているような気がします。しっかりと伏線がはられ、嘘を見抜く能力があるにもかかわらず巧妙に隠された犯人を当てることは、少し難しいかもしれません。
なのでやはり探偵役(審問官ですが)は頭が良くないと務まりません。
七日で犯人を見つけよと言われた主人公の手際の良さが説明的にならずに示されます。
この魅力的な世界観とストーリーを主人公とともに見ていきましょう。

ただの魔法少女ではない、心をかきむしる初々しい魔法少女の誕生である。

  • ★★★ Excellent!!!

30歳近くのおじさんが魔法少女になり、色々と活躍する物語です。
宝くじで大きな山を当てて、ニート暮らしを満喫していたら、少女に変身できるようになってしまうというぶっ飛んだ設定ですが、その無茶ぶりを抑えるかのように主人公が可愛く? 魔物をあっさりと倒す『強き魔法少女』のイメージが前面にあり、おじさんのイメージが吹き飛んでしまいます。
でも、そのイメージを崩さないようにあえて中身はおじさんであることを常に意識して主張していますね。
作者さんの持って行き方が上手です。
また、魔物とのバトル描写も丁寧で、魔法を駆使してやっつけるのですが、そこで飛び出すのはアイデア溢れる様々な魔法の種類。
読んでいて、その魔法少女にときめいてしまう? そんな冒険活劇でもあります。
さあ、君も魔法少女(読み手)になり、杖(この小説)を手に取り願おう。
波乱万丈とロマンに満ちあふれた、この魔法少女に幸あれと。

「白い魔女」その物語に隠された真実とは

  • ★★★ Excellent!!!

久遠真守という少女には大好きな童話がある。
それは幼馴染の「みよ君」に教えてもらった「白い魔女」のお話。
童話をきっかけに仲良くなった2人だが、みよ君と真守はすぐに離れ離れになってしまう。
それでも真守は「白い魔女」の童話を忘れられず、みよ君との思い出として大切に覚えていた。

それから10年後。みよ君と真守は再会する。
再会を喜ぶ真守だが、みよ君の方はそうではなかった。
彼は真守に会いに来たのではなく、「白い魔女」の真相を探るために現れたのだ。

「白い魔女」とは一体何なのか。
それがこの物語のキーワードであり魅力になっています。
ただの物語だと思って聞いていた童話に真実が隠されている。
それだけでもワクワクする展開です。

現代ファンタジーでありながら日常に溶け込んだ魔術の存在や、事細かな設定。
個性豊かでありつつ、目的、信念をしっかりともった魅力的なキャラクターも合わせて、最後まで楽しく読ませていただきました。

特にお気に入りなのが主人公である久遠真守です。
その時々に自分が出来る事を考え、実行する姿はとても好感が持てました。
普段は大人びた様子を見せるのに、みよ君が関わると年相応の反応を見せる姿もとても微笑ましく、純粋に応援することが出来ました。