このたびは「エキサイティングレビューキャンペーン」にご参加いただき、まことにありがとうございました。4つのレビューを選ばせていただき、カクヨムの特集ページに掲載しております。いずれのレビューもネタバレフラグ機能を使ってはいるものの、作品の面白さを損なうものではなく、レビュワーが感じた魅力が存分に伝わる素晴らしいものとなっております。ぜひ素敵なレビューとともに、作品をお楽しみいただければ幸いです。

ピックアップ

読後の満足感が半端ない。世界一カッコいいお母さんの活躍を見届けて。

  • ★★★ Excellent!!!

素晴らしい物語でした。その一言に尽きます。
主人公であるカンザキ・シュカはスクラップクリーチャーを狩る凄腕のハンター。しかし、スーツを脱げば5歳の男の子を育てるシングルマザーでもあります。
子供を保育園に送っていくまでのバタバタ、帰ってくたくたになってからのご飯、大事な時に仕事が入ってしまって息子に寂しい思いをさせてしまう親子のすれ違い…子育てをしながら働くお母さんであれば100回くらい頷いてしまうであろう「あるある」を交えながら、物語は水面下にはびこる陰謀の気配と共に進んでいきます。

物語の構成、戦闘描写、心情描写、どれをとっても素晴らしく、ファンが多いのも頷ける完成度。
飄々とした性格のイケオジ、アンジとの息のあった連携を見せる戦闘シーンには胸が熱くなり、物語が進んでいくに連れて明らかになっていく「陰謀」には手に汗握る程です。
特に心情描写は言葉の選び方が秀逸で、シュカが息子のイチ君に対して申し訳なく思う気持ちや、亡き夫レイさんに対する切ない心情には涙が出そうになりました。

物語の構成もよく練られています。序盤と最終部の対比が素晴らしく、序盤から出ていた彼女の「言葉」の意味が最終部分で別の意味を持った時は鳥肌が立ちました。
読み終わった後は、まるでハリウッド映画を一本見たような満足感。ぜひこの物語は、最終話まで読みきっていただくことをおすすめします。

「──さよならの時間だよ」の言葉と共にクリーチャーを狩る、世界で一番強くてカッコいいシングルマザー。
戦う女性や、男女のバディもの、派手でカッコいいアクションがお好きな方にぜひおすすめしたい一作です。

人の行く裏に道あり花の山

  • ★★★ Excellent!!!

>>人の行く裏に道あり花の山

 これは有名な株式投資の格言ですが、とにかく人と同じことをやっていては大成功は収められず、むしろ大勢とは逆張りをしないと抜きん出た成績は得られないという意味合いです。

 さて本作の主人公「こしあん君←(ふざけている)」ですが、ゲームのメインストリームよりも、ゲーム内の小さなことに拘ります(キャラネームには拘らなかったのに)。その小さな拘りの数々がゲーム内に革命を起こすような出来事に繋がるのですが、それは読んでのお楽しみ。とにかくこしあん君の検証につぐ検証、分析につぐ分析でゲームの未知の部分が開いていくのです。

 ここで話は変わりますが、ソーシャルスタイル理論、いわゆるS-S理論というコミュニケーション理論があることをご存じでしょうか?

 人は、その行動や考え方、また物事の決め方において四つのタイプに分けられるという理論です。つまりそれは以下の――

1.前進型――合理的
2.直感型――ムードメーカー
3.温和型――調整役
4.分析型――独自の価値観で黙々と仕事をする。ただひたすら分析することが趣味。そして分析をしたことで納得をして次の分析にとりかかる。

 の四種類です。

 ちなみに主人公のこしあん君、バリバリの分析型です。なにしろゲーム内に一応生身のフレンドはいますが、一番仲のいいキャラはNPCのヴァネッサちゃんですから←(このへんがネタバレ)

 そしてさらにどうでもいい話ですが、私もこのS-S理論のチェックシートを受けたことがあるのですが、見事な分析型でした。分析型バンザイ。

 まあここまでどうでもいいレビューを書いてきましたけれど、とにかく「人の行く裏に道あり花の山」、ゲーム内の異端児、こしあん君の検証に次ぐ検証、分析に次ぐ分析が、どうやって花の山に行き着くのか、一話から最新話まで毎日読んで楽しんでください。

 ちなみに、更新は毎日お昼休みです。

 昼食のお供に、こしあん君を召し上がれ。

 

行き場のない悲しみと、祈りと、恋心と

  • ★★★ Excellent!!!

神戸を経由して長崎へ向かう莉緒と恋人の蕾花さん。莉緒には病気で亡くなった蕾花さんの妹、友だちの一花の姿が見える。長崎には分骨した一花のお墓があり、ふたりは原爆が長崎に落ちた8月9日に合わせてお墓参りに向かうのだった。

物語は長崎の街を舞台に、原爆の記憶、キリスト信仰の歴史を絡めながら現在の莉緒と蕾花さんのこと、一花をめぐるふたりの思い、莉緒の過去の恋がふわふわと、でも切なく悲しく静かに語られる。その時々に差し込まれる莉緒と蕾花さんの思いの強さが熱くて、私まで溶かされそうになる。好きな人を好きでいること、信じたいものを信じること、それが難しい時代や場所があって、今現在も蕾花さんに恋している莉緒の心を苛む。
真夏の悲しみの日を超えて、莉緒は救われていくのだろうか。どうか救われて欲しい。