2017年7月18日から募集を開始する、高校生を対象とした「カクヨム甲子園」。コンテストの開催を記念して、カクヨム運営スタッフの間で話題にあがった「今、高校生におすすめしたい!」作品のレビューをお届けします。
本企画にかかわったスタッフ全員の感想は……眩しい……そう、高校生は眩しいんです!! 目がキラキラしていてもしていなくても、リア充でもネト充でも、ただただ眩しい。それが高校生なんです。10代後半に抱いた率直な思いや独自の視点はその年齢でしか経験することのできないもの……というのはもっと大人になってから気づくことが多いですよね。大人たちの羨望の的(?)である現役真っ只中の高校生にぜひとも読んでもらいたい5作品です。

ピックアップ

プロットって何?からはじまる底抜けに爽やかな青春モノ

  • ★★★ Excellent!!!

小説投稿サイトが繋ぐ高校生男女4人の友情・恋愛物語。
淡々としていて、でもテンポよく爽やかに話が進んで読みやすいです。

執筆歴も執筆スタイルも違う4人ですが物語に対しては全員一途。
真摯に向き合う姿にとても好感がもてます。
そして話を聞く、受け入れる、共に頑張る!の正のスパイラルが炸裂するのが見どころです。

眩しすぎる夢の高校生活…と思いきや、小説投稿サイトの細かな設定や創作の苦しさといった描写はリアルで、主人公が小説投稿の作法を仲間に指南する場面は、執筆公開してみたいというユーザーにとって参考になるはず。

前半は小説投稿ビギナーのハウツーとして後半は恋愛ストーリーとして楽しめる本作、これからカクヨムで物語を投稿したい方にぜひ読んでいただきたいです。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=カクヨム編集F)

おバカからはみ出すミステリ愛!

  • ★★★ Excellent!!!

この学校にミステリー研究会はない!
なのでしかたなく「超すいりくらぶ」なる怪しいサークルへの参加を決めたチャッピー(小学校時代からの主人公のあだ名)だった……
という感じで物語は始まります。

キャッチでも前書きでも「おバカ」を謳っていて、ぶっ飛んだキャラクターたちが小さな謎を大騒ぎしながら解いていく、まあコミカルな内容なのですが。全体的に「エラリー・クイーン」なのですよね。

キャラのひとりである摩耶ののかがエラリー信者という設定でもあるのですが、読者への挑戦状形式をとっている点や、「初期クイーン論(推理作家の法月綸太郎さんが発表した論文です)」に基づく会話劇等々、エラリー・クイーンを含めたミステリ知識があるとさらに楽しめる内容になっているのです!

ミステリ初心者にとっつきやすく、ミステリファンもクールに笑える本格派テイストの日常の謎。ぜひお試しあれー。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)

最強の竜殺し少年、師匠を失い都会に降りるも行き着く先は女子校に編入!?

  • ★★★ Excellent!!!

山奥で密かに修行していたドラゴンスレイヤー見習いの少年が、師匠の死をきっかけに山を降りる話です。
遺言を頼りに向かった先は、なんと魔女見習いの女の子たちが一同に通う女子校で──!?
という、割とオーソドックスな英雄モテモテストーリー(の予感)。

でもこの作品の真の魅力はそこじゃないんです!
なにがスゴイって、ヒロインのキャラ設定がちょっとおかしい。
自称魔法の天才、だけど実際の腕はてんでダメ…というポンコツっぷりにどことなく親近感を抱き始めたところに更に大盛り! なんとこの子、性格がなかなか陰気なんです……。
人見知りで挨拶が微妙に下手、学内カースト上位陣には嫉妬して卑屈、そのうえ笑い方がちょっとヘン。
「ヒ、ヒヒィ」って笑っちゃう。ひきつりながら。うーん、この子、本当にヒロインかな?

そんなダメダメなヒロイン・メリーちゃんを「いや…うん、まあ、がんばれ…」って若干憐れみながら応援しつつ、横目で主人公の最強スレイヤー伝説を眺める。
これこそがウィッチ殺龍ゼミナールの楽しみ方ってもんですよっ

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=カクヨム編集 mnmr)