私が新人賞関係者ということもあり、今回は「創作者のみなさまの参考になるもの」をテーマにして、ネタのひっくり返しかたやまとめかたに工夫が光る作品を選ばせていただきました!
 いや、今回ご紹介できなかった作品も含めまして、投稿作はストーリーありネタあり知識あり……実に多彩ですね。鋳型にはめたテンプレ作は、安定感があって書く側も読む側も楽なのですが、そこへ落ちずに「自分」を見せるんだーという意気が感じられる作品と多数出逢えたのはなによりうれしいことでした。最初から最後まで、楽しく読ませていただきましたよー。

ピックアップ

女神に愛されすぎた男の子は死の果てに「運命」と出逢う!

  • ★★★ Excellent!!!

女神エドレンス=エナタールはヤンデレです。
彼女は自分が愛する主人公・コースケを自分の手で殺して天国へ引きずり込むのです。
コースケは彼女から逃げようと転生するのですが……女神様はどこまでも追ってきます。
果たして彼は、たどりついた異世界ハーレムな転生先で無事生き残れるのでしょうか!?

転生したコースケを追う女神様は、ちょっとした嫉妬やら我が儘で、彼の命と世界とを壊してしまいます。
その描写がまた怖いんですよ! まさにサイコホラー。
コースケは最初、弄ばれて殺されるばっかりなのですが、たったひとりの女の子との出逢いをきっかけに変わっていくんです。
彼の気持ちが固まっていく過程が実にドラマチックで熱い!

最初はホラーなギャグかと思わせておいて、極太な“運命の愛”を軸に据えたラブロマンスを魅せてくれるこの作品。
ネタ、キャラ、構成、全部まとめてオススメです!

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)

タイトルがすべてを体現するガール・ミーツ・ボーイ!

  • ★★★ Excellent!!!

ちょっと女子力低めな主人公・桃子(とうこ)さんは大学生。
語学の講義で彼女は出逢ってしまうのですよ。
前の席に座ってる超綺麗な女の子・千尋(ちひろ)さんに!
で、たまらずお声がけしたら千尋さん、実は女装子さんだったのです!

……と、いうだけだったらよくあるお話なわけですが、もちろんそれじゃあ終わりません。

千尋さんは別に心が女子なわけじゃないんです。
彼は大事なもののために女装を選んだ、実に男前な人なんです。
だからこそ桃子さんは千尋さんに——千尋さんも女装の奥にあるほんとの自分を見てくれる桃子さんに惹かれていきます。
すごい波があるわけじゃなく、ドラマがあるわけでもないけど、その流れがすごく自然で。
ああ、「出逢い」ってこういう感じよねーと納得しちゃうわけです。

4794文字って短いストーリーですが、ひとつの恋愛がぎゅっと詰まったいいお話です!

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)

誰かの言葉が掘り起こす、置き去りにしてきたはずの真実

  • ★★★ Excellent!!!

なによりもまず感じたのは「言葉のリアル」。
ある事件の現場にいた人たちへのインタビューを書き起こした体で物語が構成されてるんですけど、このインタビュイー(インタビューされる人)の言葉がふらふら迷ったり私情で歪められたりしながら、それでも少しずつ、ひとつの事件を浮き彫りにしていく……
いわゆる“一方的な意見”が語られていくリアルと、それらが縒りあわされることで垣間見える真実。

このふたつが「迫り来る怖さ」を演出するわけです。

うん、これだけでも充分に怖いミステリなんですが、インタビューを続ける中で、さらに浮き上がってくるんです。
この物語の視点主であるインタビュアーの姿が。
詳しくは本編を読んでいただきたいところですが、インタビューって図式が壊れる瞬間——背中ぞくぞくっとしますよ!

言葉しかない物語が醸し出すリアルな怖さ。できれば明るいところで読みましょう。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)

ほんとは役に立つ歴史と文化のマニュアル書!

  • ★★★ Excellent!!!

歴史って知ってるようでいて知らないもの。
ネタとしては知ってても、なぜ歴史がそうなっちゃったのか、歴史の中でどんな文化が生まれて、どんなふうに使われてたのか、なんてのはわからないのがほとんどです。

で。この『歴史雑学』、この「なぜ」やら「どんな」を、専門用語なんて使わず、例まで挙げてきっちり説明してくれてるのが最大の特徴。
しかもまた守備範囲が広い! 歴史の流れだけじゃなくて食文化やら下トーク(!)まで、実に多彩なんです。

世界を作るものは歴史。歴史とは必然をもって積まれるもの。
その真理を1話あたり5分で感じさせてくれるこの一作、歴史好きな方はぜひご一読いただきたいです。

あと個人的には、異世界ものを書かれてる方にオススメしたいところ。
賞の応募作でも、世界観がちゃんと構築できてないものは多いですからね。これはすごく役に立ちますよー!

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)

お金ってのは払うものなんです! がわかり過ぎるエッセイ

  • ★★★ Excellent!!!

師走トオル氏といえば、ライトノベル業界に知らぬものなしのベテラン作家さん。
その氏が「物書き」始めフリーランス商売につきまとう税金・保険まわりの話をまとめたのがこのエッセイです。

……いや、実際なかなか辛いんですよ、国民の義務的なお金関係って。最初は大抵なめてかかって痛い目見るものなのですそうです私の話です。

その「痛い目」の構造はもちろん、フリーランスに要求される税金や保険の種別、収入に含まれた所得税・源泉徴収ってなんぞやまで、氏がきっちりと説明してくれるわけです。
しかも、私も仕事始める前に見たかった! と叫んじゃうくらい、フリーランスを目ざす人が知っておくべき情報がわかりやすく整理されてです。

いきなりフリーになって「え、健康保険ってなんでこんな高いのぅ!?」とか絶叫する前に、稼ぎ続けるために払い続けなきゃいけないお金のリアルを思い知っときましょう。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)

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