誰かの言葉が掘り起こす、置き去りにしてきたはずの真実

なによりもまず感じたのは「言葉のリアル」。
ある事件の現場にいた人たちへのインタビューを書き起こした体で物語が構成されてるんですけど、このインタビュイー(インタビューされる人)の言葉がふらふら迷ったり私情で歪められたりしながら、それでも少しずつ、ひとつの事件を浮き彫りにしていく……
いわゆる“一方的な意見”が語られていくリアルと、それらが縒りあわされることで垣間見える真実。

このふたつが「迫り来る怖さ」を演出するわけです。

うん、これだけでも充分に怖いミステリなんですが、インタビューを続ける中で、さらに浮き上がってくるんです。
この物語の視点主であるインタビュアーの姿が。
詳しくは本編を読んでいただきたいところですが、インタビューって図式が壊れる瞬間——背中ぞくぞくっとしますよ!

言葉しかない物語が醸し出すリアルな怖さ。できれば明るいところで読みましょう。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=髙橋 剛)

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