あなたはだれ。私はだれ。穏やかな陽が差し込み、ゆっくりと時間が流れる森と。石はやがて砂になり、水に溶け、大地になる。別れの匂いと、始まりの兆し。果てしない時のあわいに。その先に、どんな物語が待っているのか。「寂しくなんかないんだよ。」その言葉は、まだ名のない「私」の心にそっと波紋を広げ、遅れて落ちる一雫のように、それを抱く私の心の奥へ静かに響いてきます。
優しい空間の中をゆっくりと物語が進行します。ぼくとお母さんの優しいやり取り。大好きだよ、という気持ちが溢れています。時間に追われ急いている方に、少しゆっくりと読んでいただきたい作品です。
ほわあっと、やわらかい空気に包まれるようなお話です。自分が幼かった頃に感じていた気持ちや空気を思い出すような感覚を味わえます。穏やかで、ゆったりと時間が流れていた頃……。春間近の今におすすめの、やさしい気持ちになれる作品です。
言葉のひとつひとつが、少し切なさを感じるリズムで紡がれていて、読んでいてとても心地良い。本編は優しさと光に満ちているが、プロローグを読むと、少しーー翳りのある展開もあるのかもしれず、興味を惹く。たぶん、絵心がおありになる人、独特の優れた空間描写が、脳内に映像美を送り込む。場面が変われば、また違う映像美を感じられるのでしょう。先が楽しみです。
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