概要
絶望したあの日から三年。冬の居間で、僕らはふたたび隣り合う。
冬の始まり、日曜の夕方。ニュースが映るまでの黒いテレビ画面に、ソファの一角だけが不自然に暗く映った。そこは三年前に亡くなった父が、決まって座っていた席。窓も暖房も動かないのに空気がふっと揺れ、座面がわずかに沈む。確かめる代わりに、私は父の好きだった番組へチャンネルを合わせ、隣に腰掛けて昔のようにツッコミを入れる。番組が終わると沈みは消え、私は線香を立てる――「また帰ってきなよ」と。怖さ控えめ、余韻で温まるソフトホラー短編。
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