禁域

有名な心霊スポットがあった。

具体的にどんな事が起こったか、どんな怪奇現象があるか、情報が少なすぎて分からない。




「ここで合ってるか?」


Kは地図を広げて云う。

地図からは抹消されているので確認しても意味はないが、一応形から入るらしい。

ソコは建物を囲うように有刺鉄線が張られており、入口が見当たらなかった。

Rは顔をしかめながらKに懐中電灯を渡す。

Rは入るのに消極的らしい。


僕はペンチで有刺鉄線を切り始めた。

パチンパチンという音が闇に吸い込まれていく。

緊張とアドレナリンがそう聞こえさせるのだろう。


「入るか」


三人で有刺鉄線の隙間を通り、建物へと向かう。


その建物は三階建てで、立方体に近い形。

壁は鉄筋コンクリートで、三十年以上前から存在してると言われているにも関わらず、あたかもつい先日に建てられたかのように老朽化してない。

窓が少なく、さらに一つ一つ小さい。



僕らはドアノブに手をかけ、禁域に足を踏み入れた。


一階を進む。

RはKの腕を掴みながら廊下を進んでいく。

中は所々部屋になっていて、その配置は不規則だった。

廊下は一本道ではあるが、くねくねと曲がっている。

とにかく殺風景だった。

部屋に続くドアのみで他には何もない。

天井にも蛍光灯すらなく、建設途中なのかと思った。

四つめの部屋で、僕はRに写真を何枚か取らせた。

心霊写真が映るかもしれない。

そんな期待をしてみたが何も写ってなかった。


二階へ進む。

今度も何も無かった。

ただ広い一つの部屋になっていた。

床のタイルはピカピカに磨かれていて懐中電灯を照らすとわずかに反射する。

なんの目的で建てられたかが検討もつかない。

僕らは三人で分担して何か置かれてないか捜索した。

本当に何も置かれておらず、一階と同様に天井には蛍光灯も付いていなかった。


三階へ進む。

一本道だった。

三人で並んで歩くのでぴったりなくらいの幅だった。

一、二階とは違い天井には蛍光灯があり、懐中電灯は不要だった。


「なんか、つまんねぇな」


Kが呟く。

この建物の不気味さは感じてはいるが、御札とかそんなものを期待していたらしい。

正直、恐怖心というものは僕も沸かない。


「噂もデタラメなんだろ」


Rも期待外れとでもいうかのように呟く。

そんな時奥に何かがあるのを見つけた。

花瓶?

薄い青色の花瓶がそこにあった。

なんであるのかは分からない。


四階へ進む。


四階も何も無かっ


















































僕らは有刺鉄線の前にいた。


「何も無かったな」


僕はほっと安堵のため息をついて、Kに頷き返す。

Kはリュックサックから地図を取り出し、道を確認し始める。

僕はなぜか黒く汚れた上着をそこら辺に放った。


荷物を整理し、僕はKと二人で帰路に着いた。

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禁域 青蛸 @aotako

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