第2話 敷地内
中学生の時の話だ。
私は非行少年と青少年の間くらいのどっちつかずの生徒だった。
真面目な友達も居れば、俗に言う不良と呼ばれる友達も居た。
ある日の深夜、不良友達のAから心霊スポットに行かないかと誘われ着いていくことになった。
そこは地元の子供たちの中では少し名の知れた団地の心霊スポットだったが当時はまだ人も住んでいた。
何故そこが心霊スポットだったかと言うと、自殺の名所だったからである。
建物は横から見るとL字型になっており、3階までしかないフロアと14階まであるフロアに別れており、14階から3階の屋上に飛び降りる人が絶えないそうだ。
私は昔から怖いものが大の苦手であったが家庭の事情であまり外に遊びに行くことが出来ず
深夜帯にこっそりと家を抜け出して友達と遊ぶのが楽しい時期であった為、苦手な心霊スポットであっても友達の誘いに乗りそこに向かっていった。
Aは他にも地元の不良仲間を数人誘っており
全部で私を入れて8人で行くことになった。
車も人もほとんどいない深夜の車道を自転車で時間も考えず大声で話しながらその団地に向かっていった。
少しすると大きな団地が見えてきた。
事前にAから団地の詳細を聞いていたので
見えてきた建物を横から見て
「あー確かにL字型だな。あそこから飛び降りるのか」などと考えていた。
先頭を走っていた他の友達が団地の入口である駐車場に次々と自転車を乗り入れて行っていた。
私はAの自転車の荷台に乗っており、Aもまた前の自転車に続き駐車場から敷地内に入って行こうとした。
その時だ。Aの自転車の前タイヤが敷地内に入りそして荷台に乗っている私の身体も敷地内に入った時、なんとも言えないのだがすごく気持ちの悪い気分に陥った。
冷や汗が止まらなくなり私は荒い呼吸で震えてしまった。
そんな私の心境には気づかず、友人一行は団地内にある14階フロアのエレベーターの前まで来ていた。
私は自転車の荷台から降り、少し離れたところでうずくまっていた。
すると他の友人たちの声が聞こえた。
「ジャン負けで1人だけエレベーターで上に上がろう」
私はその声が聞こえた時直感的に
ああ、これは私が負けるな。私が上に行くことになる。
そう感じた。何故かは言えないがそう感じたのだ。
そしてAが私の名前を呼び、出来レースとも言えるジャンケンがはじまった。
「最初はグー、ジャンケンほい」「あいこでしょ」
と2.3回あいこが続いた後
私以外の全員がパーで私だけがグーになった。
もちろん嵌められた訳ではない。
そんなやり取りはしていなかったし、あいこを、数回繰り返した後の結果だ。
直感があたってしまったのである。
エレベーターに乗る前、皆に伝えた。
何かあればすぐに携帯電話をかけるから助けてくれよ。と。
皆は笑いながらも了承してくれた。
私は一人でエレベーターに乗った。
エレベーターの中はほんのり黄緑ががった電光で照らされていたがどこか暗く感じた。
奥には鏡が設置されており、その下にはお葬儀の時になどに、使うであろう棺を入れる為のドアがついていた。
エレベーターのドアが閉まり、私は未だに体調が優れない事もありエレベーターの中でもまたうずくまった。
これで終わりである。
申し訳ないのだが、私にはこの後の記憶があまりない。
気が付いた時には団地の1番上、14階の踊り場で一人で気を失っていたのだ。
30分も40分も経ったのに降りても来ない連絡も寄越さない私の事を気にして友人数名が階段を上り私を起こしてくれたのだ。
エレベーターは何故か14階で止まったまま下からボタンを押しても降りて来なかったそうだ。
友人は何度も私に電話をしたのだそうだが、私の携帯電話は電源が入っていなかった。
エレベーターに乗る前には何かあれば電話すると言い電源が入っていることも確認していたのに。
友人らは私を伴い、気味の悪いエレベーターを避け
階段で下まで降りていった。他の友人らにもことの次第を話し、団地から出ることになった。
来た時と同じようにAの自転車の荷台に乗り敷地内から出たその時スっと身体が軽くなった。
その時私は決めた、二度とこの団地には来ないと。
そんな私の心境など露知らず
前で自転車を漕ぐAは言った。
「なー、もう1個近くに心霊スポットあるねん。行かん?」
他の友人は内心では驚愕してるであろう顔つきだったが
怖くなんかないでと言わんばかりに
「ああ行こうぜ」と返したのであった。
私もまたせっかくの深夜のお遊びだったので
嫌々ながらも渋々ついて行くのであった。
20代までの怪談小噺 @Kohaku_Niki
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