EMOTION CONTROL ACT　―怒りの宛先―

強い感情は“危険物”とされた都市で、
ユイは「悲しみ」の宛先を選ぶことで、
痛みの偏りをほんの少しだけ揺るがした。

だが、悲しみのあとに残ったのは、
行き場をなくした薄い赤――怒りの予兆。

情動保安局は、捨てられた怒りログを集めた「0番地」と、
都市OSを接続し、新たな統治プランを起動する。

コアに選ばれたのは、理不尽にだけ反応する弟・レン。
暴走すれば世界を噛み砕くその怒りを前に、
ユイは再び“配達人”として選択を迫られる。

今度の問いは――
「怒り」は誰に届くべきで、どこまで許されるのか。