概要
頃は明和 絵描きの話をしよう
将軍は八代吉宗から九代家重に代替わりした。
だが吉宗はまだ大御所として質素倹約の政治に力を尽くしている。庶民にしわ寄せが来るのはどの時代も同じだろう。江戸はそんな締めつけばかりの世の中を生きている。
「笑い飛ばさなきゃやってられっか! 世の中は憂き世じゃねえ、浮き世だ」
酒も文化も西からの下りもの、出版業も上方(かみがた)が優勢。
だが時代は変わる。
江戸の出版社が自ら作りだした絵本や一枚絵に皆が飛びついた。墨摺(すみず)りの小さな本でもそれは確かな矜持になる。江戸は自らの文化を手にしたのだ。
そんな中にひとりの浮世絵師が世に出てくる。
鈴木春信(はるのぶ)。
彼の絵は夢の中の少女を描いたような美しい絵だった。だが最初からそういう絵を描けたわけでもない。役者絵をけなされ、絵師として採用さ
だが吉宗はまだ大御所として質素倹約の政治に力を尽くしている。庶民にしわ寄せが来るのはどの時代も同じだろう。江戸はそんな締めつけばかりの世の中を生きている。
「笑い飛ばさなきゃやってられっか! 世の中は憂き世じゃねえ、浮き世だ」
酒も文化も西からの下りもの、出版業も上方(かみがた)が優勢。
だが時代は変わる。
江戸の出版社が自ら作りだした絵本や一枚絵に皆が飛びついた。墨摺(すみず)りの小さな本でもそれは確かな矜持になる。江戸は自らの文化を手にしたのだ。
そんな中にひとりの浮世絵師が世に出てくる。
鈴木春信(はるのぶ)。
彼の絵は夢の中の少女を描いたような美しい絵だった。だが最初からそういう絵を描けたわけでもない。役者絵をけなされ、絵師として採用さ
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