概要
孤独な日々の中で、彼女は父の愛人の子であるニコラウスと寄り添い、慰め合うように過ごす。
母よりも、父の愛人に心を向ける少女の傍らには、常に異母兄ニコラウスの笑顔があった。
だが、同母兄である皇太子エーミールの突然の死が、二人の世界に静かに影を落とす。
空位となった皇太子の座を巡り、嫡子ユーリアと庶子ニコラウスは、愛と権力の狭間で揺れ動き、
同母兄を喪ったユーリアに更なる悲劇が襲う。
そんな中、母の筆頭侍従ユラン伯の助けを得、
ユーリアは生き延びるため、自らの地位を獲得するために動いていく。
帝位を目指す果てにあるものは何か。
皇女ユーリアの見るものは何か。
彼女は歴史を動かせるのか。
中世ヨー
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!薄氷を踏むような現実 時代の波に呑まれるか、銀の皇女
西洋史が好きな人なら、一度は夢を見る宮廷物語。
この話は、それでは終わらない。
フィクションの形を取りながら、随所に史実の名が顔を出す。ホーエンシュタウフェン、アスカーニエン、トラスタマラ。現実の地名もほどよく織り込まれ、どのあたりのどんな空気なのか、すっと思い描ける。好きな人ならたまらない名前が、夢の宮廷に現実の重さを連れてくる。
この話では、薄氷を踏み割れば即処刑が待っている。
どんなに愛していても、どんなに大切に思っていても、現実はそれを許さない。
抒情的ではない。冷たいリアル。
その冷たさの中で、皇女は何を選ぶのか。
愛か、罪か、その果てか。
見届けたい物語がある。 - ★★★ Excellent!!!健気な皇女ユーリアが女帝を目指す。美しく、そして冷たく。
冷遇された皇女ユーリアが女帝にまで成り上がる物語です。
こう書くと、他にも多くある小説のように見えますが、本作品は異なります。
舞台は中世ですが、その時代の皇帝の後継争いが、静かで冷たい雰囲気で描かれています。
実際にその場を目撃したかのような息苦しさと臨場感があります。
また、ユーリアが女帝に相応しく成長していくたびに、様々な感性が失われていくような変化を見せます。
冷たく隙のない女帝へと変わっていく姿。幼少期には可愛げのあったユーリアが、少しずつ情を失い強い権力者になっていく移り変わりを、見事な描写で描き切っています。
着想や構想があっても、この執筆力がなければこの物語は紡げないと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!読者の想像力を刺激する、緻密で冷徹な「静寂の覇道」
本作の最大の魅力は、安易な感情移入を許さないストイックなまでの硬派な演出にあります。
主人公・ユーリアの視点で物語は進みますが、彼女の真意はあえて霧の中に置かれています。この「情報の空白」こそが、読者に深い考察を促す仕掛けとなっており、現代のエンタメ作品には珍しい、心地よい緊張感を与えてくれます。 登場人物の多さも、それだけ壮大な世界観が構築されている証拠。一人ひとりの思惑が交差する群像劇としての厚みが、物語に重厚なリアリティを付与しています。
特筆すべきは、ユーリアの冷徹なまでのカリスマ性です。 動機を饒舌に語らず、ただ淡々と、時に苛烈に皇帝への道を突き進む彼女の姿は、まさに「孤高の統…続きを読む