深夜のタクシーという閉ざされた空間と、霧雨の墓地という開けた場所が、対照的なのにどちらも同じ「逃げ場のなさ」を感じさせて、とても印象に残りました。 「自分はいま何を乗せているんだろう」と一緒に不安を抱え込む形になっていくのが、じわじわ怖くて良かったです。会話の軽さと、ふと混ざる「命が薄いような」感触が想像を引き立てます。読んでいると映像が浮かぶ、素敵な作品でした。
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