首狩り姫と緋色の暗示

死の危険は、赤い光で視える——

十五歳の傭兵ルシアン。 彼の左目の魔眼は、自分を殺しうる存在を赤く映し出す。

薄い赤なら用心、血のような深紅なら即座に逃げろ。
八年間、それだけを頼りに戦場を生き延びてきた。

闘技場で対峙した『首狩り姫』の二つ名で呼ばれるクレア・ライネル。
傭兵王の娘は、今まで見たことがない深紅の死で彩られていた。

必死で逃げ回り、命は拾ったが完膚なきまでに叩きのめされた。

だが彼女は、戦場で恐れられる少女は、剣を置けば不器用で優しかった。
そして時折、クレアだけが違う色で視える。深紅ではない、もっと鮮やかで美しい——黄金が混じる緋色に。

死を視る魔眼持ちの少年と、二柱の神に愛された傭兵少女、二人の物語。