想起・責任転嫁・昇華

ただただ衝撃的だった。

これはある街で起きた陰惨な事件を、関係者へのインタビューから掘り起こしてゆく物語だ。

そこから現れていく、あまりにも残酷な関係性の連鎖に目が眩んだ。

たとえば「ひどい」出来事があったとする。人間関係の中でそれを壊してしまうような出来事、あるいは誰かをひどく傷つけてしまうような出来事。

そんな事が自分の近くで起きたとする、それをただ見ていただけだ、と主張したとする。

でも、本当にそうだろうか。
あらゆる因果は巡る、運命論などではなく、人間は関わり、触れる生き物だ。安全な場所でそれをただ傍観している事などありえないのではないか?

端的に言えば、おまえは誰かのせいにしていないか?おまえも当事者なのではないか?それから目を逸らし、逃げているだけなのではないか?

それが、インタビュー・インテグラのメッセージなのだと思う。
この作品を読んでいて、胸ぐらを掴まれた気がした。おまえはおまえの人生の因果から目を逸らしてはいないか?きっとそのはずだ、向き合え、と。

そう言われた気がした。

自分にとって心当たりのある事が多々あった分、その欺瞞を問いただされたような気分だった。

でも救いはある、目を逸らさなければ。自らの関係を認めれば、誰かに触れる事はできる。

物事を見据えたときに何があるのか、触れた先に何があるのかはわからない。でも、目を逸らし続けるよりは、きっとマシなはずだ。

この作品は、俺にその事を教えてくれた。作者であるポンチャックマスター後藤氏に深く感謝する。

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