こういう小説が読みたかった!
人類を滅亡に追いやりつつある疫病の設定、SFではおなじみながらこの作品に登場する疫病の存在と上手く調和させている冷凍睡眠や人口胎盤といった設定、まるで現実世界の延長線上にあるかのような国際情勢設定、各国政府の内情、そしてタイトルとも関わりのあるパラレルワールドの設定、いずれも非常に緻密かつ丁寧に描写されており、読後はまるで自分が本当にパラレルワールドを覗いて来たような気分にさせられます。
ご都合主義や脇の甘い突っ込みどころは一切ありません。
また、度肝を抜く展開や細かい伏線が待ち構えています。
よって読み手にも気合が求められます。
が、それでも一気読みできてしまうほどの読み応えがこの小説にはあります。
映画にしても、小説にしても、妥協無く丁寧に練り上げられた作品というものは情報量が多く体力が要りますが、鑑賞後の充実感は他では換えられませんね。
ライトノベル系のSFじゃ満足できない方に是非勧めたい作品です。
ハードSFもの。
タイムリープやパンデミックなど、魅力的な要素が詰まった作品。緻密に練られた設定、複雑に絡み合った世界情勢、十分なバックボーンがある登場人物たちなどなど、読み進める度に作者の知識量と考察力に感嘆しました。いやー参りました。素晴らしかったです!
この作品、SFが少し苦手な方が読むと、恐らくもっとSFのことが苦手になるでしょう。しかしSFを好む方が読めば、この作品から抜け出せなくなります。私も時間構造の話のところで一気に夢中になり、抜け出せなくなりました。それほどまでに、この作品が持つ引力は絶大です。
SF好き必読の作品となっています。SFが好きな方は是非読んでください!
遠い未来から時空を越えて現代に訪れた、五名の使節団。受け入れたアメリカで彼らがタイムトリップしてきた理由が明かされる。そこから壮大なスケールの物語が始まった……
これは書籍として販売されていてもまったくおかしくない、とてつもなく面白いSF小説です。むしろWeb媒体よりも、紙で是非とも拝読したいという欲求が起きております。この作品の設計図があるのであれば、物語の何倍、いや何十倍とも思える量なのではないでしょうか。
「時のロープ」、タイトルの意味するところに、本作のキーポイントはあります。とんでもない大河ドラマです。いや、フィクションと言うよりも、ノンフィクションではないかと疑うほどのリアルさ。もう圧倒されております。でもこの小説を拝読できたことが、とても嬉しいのです。
登場人物はかなり多めですが、ひとりひとりの履歴書まで作られたのではないかと思うほど、きっちり役をこなしております。ですから途中でこんがらがることなく読み進めることができます。血の通った登場人物が見事に描き出されております。
伏線やアッと驚くどんでん返し、それも巧妙に張り巡らされており単なるハードSFではありません。読み物としてこれほど手応えのある作品はそうはないでしょう。
なぜこの作品がもっと読まれないのか、不思議です。声を大にして言いたいです。この作品を読まなかったら、もったいないです!
端的に言って、傑作だと思いました。感染病を軸として描かれた未来の地球の(約)百年史。
深い洞察、緻密な構成、超越した俯瞰力。それにしても作者の幅広く深い知識には驚かされました。政治、歴史、民族、宗教、地理、経済、科学、物理、医学これらをふんだんに織り込んだ物語をネット上に惜しげもなくさらすなんて。
書き込まれた作品は軽く読めないというジレンマを孕んでいるわけですが、ぜひとも8話まで読んでいただきたい。そこから先はもうノンストップです。
読みながら、少し既視感(良い意味で)を覚えていたのですが、ようよう何か思い当たりました。古川日出男氏『ベルカ、吠えないのか?』。あの作風が好きな人には堪らないと思われます。(失礼に当たりましたら、申し訳ありません)
読了するには時間がかかる、けれどじっくり腰を据えて読んでいただきたい。どうぞ8話まで読んで! それにしても、公募には出さないのでしょうか。本当に凄い作品です。
未来からの時間旅行者に対しての、タイムパラドックスの解決法がユニークでした。
SF小説の熱心な読者なら似た骨子を読んだり、思いついたりするかもしれないが、つまるところ、SFに説得力をもたせるのは筆者の筆力なのだ。
未来を滅亡させようとしている病原菌を過去にさかのぼり根絶する、
そういった趣旨で始まる本編には、
冷凍睡眠技術、人工胎盤技術、高速増殖炉技術、重水療法など科学分野の福音がぎっちりつまっている。アンドロイドの用い方も面白い。
想像だけでは絶対に書けない。裏打ちされた取材力。
語られるのは我々からすれば未来の話であるが、政治情勢や宗教の概念など、現代社会が抱えている問題はあまりにも多い、そのことに気付かされました。