変人たちが集まる寮(アパート)生活ものというと、すでに先駆たる名作が数多くあります。
それらと比べても、本作は全く負けてないと、私は素直に感じました。
何より驚かされたのは、主人公にして視点キャラである「よだか」の語り口です。
飄々としたテンポで、実に心地よく物語を進めてくれて……気がつけば作品全体のトーンを、いつまでも浸かっていたくなる温泉のような絶妙な温度に整えてくれていました。
その結果、本来なら個性豊かすぎて統一感を出すことが難しい「パンドラ」の住人たちが、一つの空気の中に調和し、しっかり家族になっていたのかなと。
また、いい作品といい作家さんにに出会えました!
ひとこと紹介が子供のたわごとみたいになったが、許してほしい。
面白いんですよ。いいんですよ。
ただなんとも悔しいのが、俺にはこの面白さ、良さを、適切に言語化することができない。だから★だけつけて黙ってようかと思ったのだが、最新話を読んだらいてもたってもいられなくなって、思わずレビューを書きに来てしまった。
「極めて個性豊かな住民とシェアハウスでの共同生活をはじめたよだかくん(ちゃん)(かわいい)のドタバタした日常生活をコメディタッチで描いた作品」というのが梗概になるのであるけれども、違うんだよもー!! そういうこっちゃねえんだよー!!
一度落ち着こう。
この梗概だけが宇宙空間に浮かんでいたとする。
この作品のことは何も知らなかったとして、無垢な瞳でこの文章を読んだときに想像する「個性豊かな住民」と、「ドタバタした日常生活」を、100、くらいのパワーだとしよう。
それで作品を読むでしょ。個性豊かさとドタバタの程度が、5000だったことが分かるわけですよ。
つまりオーダが違っているので、この梗概は正しくない。ただほかに書きようがねえのよ。だからすっげーいいしすっげー面白いから読んでくんろ、と言うよりほかになくて、だったら★を3つつければもうそれでお役御免、他にももっと素晴らしいレビューがあるんだから、とそう思っていた訳なんですけれども。なんですけどもね。
これから俺は特定の話の良さを語るけれども、ただ、もしこの妙に長くなってしまったレビューを読んで、それでじゃあ作品を読んでみようかな、と君が思ったのだとしたら、一つだけ、俺と約束をしてほしい。
必ず、最初から、順番に、物語を読むこと。いいね?
いいね? 本当だな?
という訳でね。第20話 時の恋―1―が、スーパーエクセレント最高にいい。★が10個あるなら全部つけてやりたいほどにいい。
いやー、これはいい。いい! すっげーいい!!
手がかりは全て提示され、一切の嘘はなかった、にも、関わらず俺は、巨大な鉄の塊でふっとばされたようなそういう気分になった。ブラボー!! ほんといい。
ということで、このレビューのことなんか忘れて(たぶん、読み始めたらすっかり忘れると思う)、必ず、最初から、順番に、物語を読むこと。いいね。
個人的には俵屋さんが(他人と思えないせいか)推しメンです。
人はそれぞれの世界が有ります。
そしてその世界が重なりあう瞬間こそが物語になると私は思うのです。
だから幾つもの世界が交差する話というのはまさに物語の醍醐味という奴で、有り体に言えば私はこういう話が大好きです。
可愛い女の子みたいな少年(シロウ、僕はね……美少女に生まれてコスプレしたかったんだ)、ダンディな宇宙人、黒いジョークが好きなアンドロイド、刀剣男子、汚そうに見えてちょっと綺麗な汚い座敷わらし、それに山形県民。
特に山形県民は不思議な民族ですね。彼らがかくも芋煮儀式を好む信仰に篤い民だとは私も知りませんでした。私も現実で山形県民と出会った時は芋煮関係で彼らの信仰を汚さぬように注意したいと思います。
ところでスカート履いたね!ありがとう!本当にありがとう!評価にexcellentより上無いのが辛いねありがとう!
一癖も二癖もある住人たちが住まうシェアハウスを舞台に広げられる物語。
レビュー時点ではまだ登場人物たちの紹介や日常が描かれている部分までの連載ですが、それでも彼らの濃さがすごい!
ダンディーなグレイ型宇宙人の管理人さんをはじめ、思わず二度見してしまうような奇妙な住人たちばかりです。
(個人的にはケーキを勝手に食べた挙句、他人の歓迎会で二日酔いになるダメニートの俵屋さんが好きです)
そんな癖のある人物たちと、小気味のいい突っ込みとスルー力で関わっていく主人公もどこか可愛らしい。
面白おかしい住人たちと一緒に生活して、彼らを受け入れていくこの主人公がある意味一番すごいかもしれません。
柔和でコメディ調な文章に加え、テンポよく進むので楽しく読めます。
一方で地の文や表現、セリフに独特のセンスが光り、これもまた読んでいて想像が広がります。
これからさらに物語が展開していくと思いますが、パンドラの名に違わない、おもちゃ箱のようなワクワク感と優しいサイケデリック感溢れるお話を期待しております。
一度は目にした事ある、新しい下宿先での住人や管理人との生活を描いた日常コメディ。
よくある展開かと思いきや、個性豊かな住人を柔軟すぎる主人公が生かしている。
普通の主人公なら驚き、騒ぐ場面でさえ主人公は、これが東京なんだと納得する。そんなら自分も東京行ってみたいわ。
個性的で可愛らしい住人達と少し不思議な主人公との絡みは、恋愛要素が無いのにニヤニヤしてしまう。
キャラクターの口調や丁寧語等に少し違和感を感じる場面も有るかもしれないが、二万文字程での伏線の回収しており、読者を納得させる技術もとい構成力があると感じた。
今後のストーリーを大いに期待出来る作品。