昆虫に詳しくなくても好きじゃなくても、この物語は面白い!

とにかく面白くて、夢中になれて、キャラクターを愛さずにいられなくて、なんだか昆虫に詳しくなったように思える物語です。
物語は昆虫学者の「モッさん」と野生児でかわいい「貴子」のコンビが異常発生した新種の虫に、あの手この手で対処していくという話です。しかし一筋縄でいかないのはこの作者の得意とするところ。新種の虫は遺伝子操作で誕生した新種であり、そこには人の意思があり、さらにはその目的には意外な側面があり……と物語はどんどんと転がり続けていきます。
この変転する物語を支えるのが、主人公「モッさん」の軽妙な語り口、虫が命、のようなちょっと変わった人物ですが独特の思考と相まってとにかく笑わせてくれます。そして彼に密かに恋心を抱く貴子のかわいさとたくましさ。
さらに物語はミステリーやSF、パニックものなどの面白い要素を巻き込みながら、どんどんと大きく加速していきます。それでも読みやすさが変わらないのは、とにかく文章の上手さとリズムの良さです。
さらに虫のことなどはかなり調べられたのでしょうが、なるほどと思わされるものばかり、そういった知的好奇心まで満たしてくれます。
でもとにかく最後に言えるのは、これが掛け値なしに面白い物語だということ。読み終わって面白かった!と真っ先に思える作品でした。
ぜひぜひ読んでみてください!

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