愛する者のために、どこまで犠牲にできるか。それを問うための物語

 読了しました。そして、キャッチコピーに込められた意味を理解しました。与えるために奪い、奪うために与える……矛盾しているように見えて、それは実に道理にかなっています。
 詳しく書くとネタバレになるので、言葉にこめられた意味は、これからこの物語を読むみなさんが解き明かしてください。最後まで読めば、答えが分かります。

 ネタバレにならない範囲でこの作品の魅力を語るのであれば、やはり主人公であるドロテアの魅力でしょう。醜い彼女は、多くの者から疎まれ、嫌われます。誹謗、中傷、理不尽な運命によって背負わされた苦痛……それらを一心に受けながらも、決して折れることなく自分が成すべきことを成そうとします。

 そんな彼女の傍には、エンリケという名前のひとりの男がいます。彼はどこまでもサディスティックで、会うたびに耳を覆いたくなるような罵声をドロテアに与える最低最悪の男です。己の完璧な美しさと頭脳を鼻にかけた、あまりにも憎たらしい男です。
 私はこの物語を読むなかで、その人物があまりにも悪辣すぎて、途中で心が折れそうになりました。(折れずに読了できたのは、もうひとりの素晴らしい男性がいたからなのですが、それはさておき)。
 読み終えたいまならば、読了して良かったと心の底から思えます。彼もまた物語を動かすために必要な役割を持っていたのだと、理解できたからです。

 さて、ドロテアの傍にはもうひとり、ウルバーノという男性がいます。高潔で、凛々しく、誇り高い男です。野性的な魅力に溢れた、とても頼もしい男です。当然のごとく、ドロテアは惹かれていきます。私も惹かれました。あまりにも彼がカッコよくてステキだったので、私は逆に不安になりました。

 タグに三角関係ってあるけど、え? もしかしてウルバーノとエンリケがドロテアを取り合うの? エンリケ、お前絶対に勝てないよ? これ出来レースじゃない? 大丈夫?

 その結果がどうなるかは、これから読むみなさんに確認してもらうとして。私から言えるのは、どうか最後まで読み進めて欲しいということです。
 ドロテアは、あまりにも辛くて苦しい状況に置かれます。そしてそれは、感情移入をしている読者にもすさまじい負荷となって襲いかかってきます。ですが、それを乗り越えた先に、私は「納得」を持ちました。最後まで読んで良かったと、そう思いました。
 この感動をみなさんと共有したいと思います。だからどうか、どれだけの時間がかかったとしても、読了してください。後悔はさせません。ドロテアが、ウルバーノが、エンリケが、どのような答えを出して、どんな未来を掴むのか。その結末を、あなたの目で確かめてください。

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