登場人物がですね、皆さん個性的で魅力的なんですよ。
モブ的八百屋のおばちゃんだって、表情が目に見えるように浮き上がってくる。
何故、年若い娘さんのドロテアにこんなに辛辣なのか。何故、憎まずにはいられないのか。
のっけからドロテアは男の人に逃げられちゃうんです。怒ったっていいのに、彼女は健気に憎しみ蔑みを受け止めています。
いじましくてもどかしい。もっと幸せになったっていいんだよ、もっと自信を持って!と応援してしまううちにどっぷりハマります。
何故なのか、どうしてなのか、何の因果なのかが肝になってきます。
ウルバーノさんが野性的紳士なのがマタコレいじましいんだな。早く、くっついちゃえよーぅ!って思うんだけどそうは行かないのが、いいのよ。
友人にしても、樵さんにしても、おじいちゃん、お父さん、一癖二癖あって魅力的。
そして大きな策略を張り巡らすあの方が、実は一番いじましいのかなって、読後なんとも言えない気持ちになります。
もう、3回位読んじゃいましたけどまた新たな発見があって飽きません。わかっちゃった後から読むと、何とも因果な面倒くさい魅力的なあの方が、結構一生懸命だったのかなって気が付いたり、、、。
勿論、好みもあるでしょうが、すっごく魅力的なストーリーです。一回読んで終わらせるのは勿体無いくらい素敵なお話です!!
真っ白な苺、それは本文中で出てくる印象的な背景だ。私はそこに、ダブルヒーローの一人(誰とは言うまい)の鮮烈な愛の姿を感じる。あれはきっと、彼そのものの姿だった。
この作品の魅力は、他の方が殆ど語ってしまっているので、私は私自身がこの物語に感じた萌えを語ってみたい。
まず、沼地という舞台。醜い、あるいはブスなヒロインが主人公の恋愛小説なんて腐る程あるが(と言っても、ドロテアは本当はブスではない)、この物語の特徴はなんと言ってもそれを沼地……しかも皆から疎まれるような汚水……を舞台にしているところだ。そこでドロテアは、父の名誉のため、己のため、誰にどんな罵倒を受けようと沼を浄化しなければならない。あらすじにある通り、八方ふさがりの多重苦に悩まされるドロテアの救いの手となるヒーロー・ウルバーノ。次第に明るみになっていく彼の不器用さと優しさ、抱えているものに読者が惚れないはずがない。ドラゴンの脳腫瘍、天使の設定、どれも常人には思いつかないはっとさせられる素晴らしい世界観である。ラミラとドロテアの女子トーク(?)も微笑ましい。
物語は沼地の霧が晴れるように少しずつ希望を見せる。やがてドロテアは借金という苦から解放される……!というところで、ある真実を知るのである。ずっと守られていたこと。奪うために与え、与えるために奪われていたこと。あまりにも鮮烈な物語、愛情に、体が震えた。ぜひ冒頭の魅力に捕まって、最後まで走り抜けてほしい。そこには、結局どちらを愛せばいいのか、途方に暮れるあなたがいるだろう。
なんてきれいな言葉だろうか。この二つの台詞を目にして、ため息をついてしまった。
大半は「ウルバーノさんマジかっけーッス!」と興奮(?)していたのだが、最終話に近づくにつれて、巧妙に張り巡らされた想いに絡め取られ、純粋すぎるその想いに感涙し、並々ならぬ執着心からの行動に戦慄した。
まさにキャッチフレーズの通り「奪うために与える、与えるために奪う」である。
主人公が少々卑屈すぎるという難はあるが、物語のテーマの一つに繋がっていることを考えれば致し方ないであろう。
続編は期待できない。それほどまでにこの物語は完成している。久しぶりにそんな作品に出逢った。
読了しました。そして、キャッチコピーに込められた意味を理解しました。与えるために奪い、奪うために与える……矛盾しているように見えて、それは実に道理にかなっています。
詳しく書くとネタバレになるので、言葉にこめられた意味は、これからこの物語を読むみなさんが解き明かしてください。最後まで読めば、答えが分かります。
ネタバレにならない範囲でこの作品の魅力を語るのであれば、やはり主人公であるドロテアの魅力でしょう。醜い彼女は、多くの者から疎まれ、嫌われます。誹謗、中傷、理不尽な運命によって背負わされた苦痛……それらを一心に受けながらも、決して折れることなく自分が成すべきことを成そうとします。
そんな彼女の傍には、エンリケという名前のひとりの男がいます。彼はどこまでもサディスティックで、会うたびに耳を覆いたくなるような罵声をドロテアに与える最低最悪の男です。己の完璧な美しさと頭脳を鼻にかけた、あまりにも憎たらしい男です。
私はこの物語を読むなかで、その人物があまりにも悪辣すぎて、途中で心が折れそうになりました。(折れずに読了できたのは、もうひとりの素晴らしい男性がいたからなのですが、それはさておき)。
読み終えたいまならば、読了して良かったと心の底から思えます。彼もまた物語を動かすために必要な役割を持っていたのだと、理解できたからです。
さて、ドロテアの傍にはもうひとり、ウルバーノという男性がいます。高潔で、凛々しく、誇り高い男です。野性的な魅力に溢れた、とても頼もしい男です。当然のごとく、ドロテアは惹かれていきます。私も惹かれました。あまりにも彼がカッコよくてステキだったので、私は逆に不安になりました。
タグに三角関係ってあるけど、え? もしかしてウルバーノとエンリケがドロテアを取り合うの? エンリケ、お前絶対に勝てないよ? これ出来レースじゃない? 大丈夫?
その結果がどうなるかは、これから読むみなさんに確認してもらうとして。私から言えるのは、どうか最後まで読み進めて欲しいということです。
ドロテアは、あまりにも辛くて苦しい状況に置かれます。そしてそれは、感情移入をしている読者にもすさまじい負荷となって襲いかかってきます。ですが、それを乗り越えた先に、私は「納得」を持ちました。最後まで読んで良かったと、そう思いました。
この感動をみなさんと共有したいと思います。だからどうか、どれだけの時間がかかったとしても、読了してください。後悔はさせません。ドロテアが、ウルバーノが、エンリケが、どのような答えを出して、どんな未来を掴むのか。その結末を、あなたの目で確かめてください。