いぶし銀のおっさんを見よ

話自体は大国に翻弄される小部族の混乱を描いた、小さな物語です。
しかし、主人公や、彼が後見する族長の息子などの内面の葛藤を、非常に奥深く鮮やかに描いています。
脳裏にありありと草原の部族を思い浮かべることの出来る細部までこだわった綿密なリアリティは、これに画がつけばなぁ、とため息を漏らさせるほどです。
自由。
自由とは何かを知る少年の奔馬のような心に、振り回されながらも憧れます。
ラストの主人公の決断は、きっとそうだろう、と納得のいくものでした。
最初のうちは、登場人物たちの名前がとっつきにくく、覚えにくいかも知れません。しかし、読んでいくうちに慣れます。

それから、日本人じゃないのに「ござる」言葉を使う話が自分はとても好みなので、その点でも好きでした。
昔の漫画なんて欧州の騎士も「ござる」って言ってましたし。
敬語萌えなので全編品のいい敬語が読めて満足でした。

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