実はファンタジー系RPGをプレイしたことのない私、初めはとある理由からほんのちょっとだけ覗いてみるつもりだった。最初の一章ともう少しだけ、と。
……気が付いたら最新話の更新を待ち続けているこの状況。一体何が起こったのだ。
じっくり練り込まれた舞台設定、特徴も癖もある敵と味方のキャラクター。
毎回少しずつ明らかになっていく世界の謎と、主人公はじめ各キャラクターが抱えた秘密と成長に目が離せない。
実際のゲームに例えるならステータス上昇と鍵アイテムの取得か。なるほど、ワクワクするわけだ。
さぁて、次は何が起こるのかな?
ちなみに、私が一番気にしているのは「作者のアクション描写力ステータス」だったりします(ニヤリ)。
大長編の冒険譚です。
がっつりファンタジーが読みたい!少年漫画大好き!とりあえず何か読みたい!暇なんですけど!って人はぜひ読んで!
面白いです。
ネタバレには十分に注意しながら魅力を伝えていきたいと思います。
まず一番に言いたいのは、この作品が世界を作ってるということです。
ハイファンタジーだから、当然と言えば当然なんですけど、世界そのものの完成度が高いんですよ。
地理とか歴史とか。さらには魔法とか武器とか。
ルカたちが旅をするにあたって、世界の背景がしっかりしているからこそ、作品にも奥行きが出てきてます。
ストーリー展開も良いです。
仲間を増やしたり。
途中で心強い仲間が助けに現れたり。
敵地に潜入したり。
何人かずつ別々になってそれぞれ戦ったり。
敵が仲間になったり。
そういった王道的な展開に安心感を覚えつつも、白熱したバトルシーンにドキドキしたり、新しい場所にたどり着いたときにワクワクしたりできます。ドキドキワクワク。
物語には大小様々なゴールが設定されていて、キャラクターたちが一つひとつハードルを越えていく仮定が丁寧に描かれてます。
物語の大きな目標として、終焉の時代《ラグナロク》を止める、というものがあり、それに向かって進んでいくブラッククロスのメンバーたち。みんなカッコ良い……。
章もmissionごとに区切られているので、わかりやすいです。
章の中でさらに細かく区切られていたりもして、RPGをプレイしている感覚で読み進められます。
キャラクターもすごく良いです。
もちろん単体でも一人ひとりが光ってるんですけど、それ以上に、キャラクター同士の関係性の描き方が、本っっっっっ当に上手い。乙島神……。
ルカとアイラ。
アイラとソニア。
ルカとクレイジー。
ターニャとウーズレイ。
リュウとシアン。
ドーハとエルメ。
アランとウラノス。
ソニアとライアン。
そしてもちろん、ルカとユナ。
この2人、なんと出会いがmission1なんですよね。
つまり、この2人の全部が、作中で、リアルタイムで見れるわけです!すごい!
ユナは、最初はただのお姫様なのですが、ルカたちと一緒に旅をするうちに、強くたくましくなっていきます。
最終章の最後のアレとか本っっっっっ当にすごいです。
ユナ様、よくぞここまで大きくなりました……と、思わず使用人目線になってしまう……。
ちなみに私の推しはアイラ姐さんとウーズレイさんとソニアとクレイジー様とシアンとルカです。
アイラ姐さんはとにかく格好良いです。本当に姐さんって感じ。
ウーズレイさんは紳士です。
過去に色々とあって、それでもしっかり前を向いてるところとかがマジで素敵です。
ソニアはいわゆる重いものを背負ってる系のキャラ。こういうのに弱いんですよね……。ある意味一途です。
クレイジー様は最初の方はかなり謎なお方だったのですが、mission10で色々とわかります。とあるエピソードが心に刺さる人も多いと思います。
シアンも格好良いです。
リュウの師匠です。ここの師弟関係が尊い!
ノワールをサポートする姿も良いです。
この作品、強い女の人が多いんですよね。好き。
ルカは主人公です。
ザ・主人公って感じの主人公。
能力がカッコ良いです。
ちょっと無茶してしまうときもあるけど、良い仲間に支えられて本当によかったね(号泣)
章ごとに一回り成長して最後はすっかり立派になったユナ姫も、後半の活躍がすごかったドーハ坊ちゃんも、戦闘シーンが格好良いターニャさんも素敵……。飴ちゃんくれるフロワさんも地味に好き。全員好き。
と、こんな感じで魅力たっぷりの作品になっております。
書籍化してほしいし、コミカライズ、アニメ化もしてほしい!!!
※以下、mission1読了時のレビュー
もしかして、とんでもない世界に足を踏み入れてしまったのではないか……。
この物語に挑んだ読者全員をもれなくそんな気持ちにさせる王道ハイファンタジー。
『終焉の時代』『契りの神石』など、そんなカッコいい言葉の並ぶあらすじで心を鷲掴まれ、チーム同士の対立構造や国と国の関係など、ぎっちりと作り込まれた世界観に引き込まれ、活き活きと動き回る魅力的なキャラクターたちに惚れ惚れします。
が、このmission1で私が出会えた登場人物は、まだまだほんの一部。世界も大きく広がる余地を残しています。
未登場のキャラクターや未知の場所。この物語がもっともっとアツくなる予感、いや、確信が私にはあります。
ふふふふふ。期待が膨らみます。
ちなみに私はアイラさん推しです。mission2以降も、カッコいい彼女の活躍を楽しみにしてます(*´ω`*)
さあ、あなたもルカたちと共に冒険を始めましょう!
(2017.7.12 mission1 読了)
まず本作を一言で表すならば『途轍もなく丁寧に描かれた冒険譚』ということでしょう。ここで言う丁寧というのは、登場人物達が訪れる場所やシーンに必要な情報を、簡潔かつ必要十分な情報量で、余すことなく読者に伝えきっている。という意味です。
余程事前に考えて執筆しない限り、それぞれのシーンでの情報量には必ず偏りが出ると自分は思っていました。しかし本作は、その情報量が冗長になることもなく、かといって不足しているわけでもない。描写と情報は常に必要なだけ提供され、かつ、それによってそのシーンの光景をありありと読者の脳裏に想起させるという、かなり高等な執筆技術を持っていると感じました。
これら丁寧な執筆技術と描写力によって描き出される世界観は、当然瑞々しく、登場人物達もみな生き生きと、活力に溢れています。
この世界に『実質死んでいるキャラクター』は存在せず、皆物語の中で必要とされ、生きるべくして生きているキャラクターばかりです。これもまた凄い。これだけの超長編ですから、ただとりあえず出しただけの登場人物が多数出てきても誰も責めはしないと思うのですが、本作にはそういったキャラクターが全く存在しないのです。
とにかくまずは読んで頂きたい。本作は冒険ファンタジーのお手本、教科書とも言えるような部分が多数あり、まずどうやって小説を書いたら良いかわからないというような方にも、絶大な自信をもってお勧めできます。
作品世界のファンタジー感がたまらないとか、神石の能力をつかった手に汗にぎるバトルとか、この小説を原作にしたゲームがやりたいとか、そういったことについては、みなさんもうたくさんレビューに書かれています。
私もそう思います。いいですよね、こう、広がる世界のワクワク感とか、冒険のドキドキとか、そういった魅力がこの作品には詰まっています。
でもですよ!
ちょっと待ってくださいよ!!
みなさん大事なところを忘れてないですか?
この作品の素晴らしいところ、それはやっぱり、ヒロインのユナ・コーラントちゃんが超絶かわいいということなのではないでしょうか!?
引っ込み思案なユナちゃん。
勇気を振り絞るユナちゃん。
歌を披露するユナちゃん。
通学途中に十字路でぶつかってしまうユナちゃん。
なぜか隣の部屋に引越してきてしまうユナちゃん。
つくりすぎた肉じゃがをお裾分けしてくれるユナちゃん。
よし。
親しみやすいキャラクターに、自分を重ね合わせてしまう。
でも、いかがわしそうな人もいて、ちょっと怖い。
読んでいて、映像が浮かんでくる。
行間が適切なので、スピードあふれる展開なのに、味わえる。
壮大なストーリー。
完成したら、映画の実写化を望みたい。
物語が進んできた。重要なテーマが展開している。技巧派は武器を作ることでしか生きる道はないのか。技術、産業、経済という大きな課題に真正面に取り組もうとしているのか? 政治をどう扱うのか?
人物の心のヒダが温かく描かれている。武器も攻撃的闘いの道具ばかりではなく、癒し、護りの視点がある。