雌蟷螂に食べられていく雄蟷螂を思う気持ちに似ている

馬鹿にしているのかと思ったキャッチコピーに、馬鹿にしているのかという童話のような内容……いやいや、実際に読んでみるとこれが馬鹿に出来ない。

淡々とした語り口で童話的な話や不気味な話が展開されるが、退廃思考のタイトルどおり、昭和中~後期辺りに流行った退廃的な、或いはノスタルジックな思考を勢いで形にしたような短編集となっている。
1話辺りは短いので、ポチポチと次の話へと移っていけるだろう。

教訓を得られる話の方が圧倒的に少なく、少々物悲しい余韻が残り、それが静かに雨音を聴く時のような、そして誰も見ていない所で振る雨を想像する時のような静黙で 寂寞たる心境へと導いてくれる。
これはある種の才能であろう。

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