終盤、ここまでときめかされるラブストーリーになるとは思わなかった!

「婚活する女子高生」という設定を「スゴイ発想だぞ、これは!」と思って読み始めた本作。

冒頭から打算まみれな恋愛&結婚観のヒロイン・絢奈のぶっ飛んだキャラクター性が面白く、ぐいぐいと物語の世界に引きこまれていきました。

主人公・純市が、良識があって人の気持ちも汲めるような人物のため、共感が持ちやすいのもプラスになったと思います。
純市がヒロインの奇抜な言動に呆れたり慌てたりするたびに、読者も主人公の気持ちにシンクロして「急に何するんだ、この子は!」と同じようにヒロインに振り回されることができ、とても楽しかったです。

そして、我々読者にとっても他人事とは言えないのが、本編でたびたび言及される「恋愛市場価値」……。
はっきり言って、今の私の恋愛や結婚の市場価値ってどれくらいなんだろうか……。かなり底辺に近くないですかねぇ……(震え声)

あと、「近江同盟」のくだりはちょっと背筋が寒くなりました。女の子、恐い!

とにかく、この物語は途中まではロマンチックなラブストーリーなんて到底望めないのではと思ってしまうような展開が続きます。だって、ヒロインが打算まみれなんだもの。
しかし、絢奈が婚活を始めた事情、そして、彼女が恐れるものが明かされるあたりから、この物語は単なる「打算まみれな女子高生の婚活ストーリー」ではなくなっていったと思います。

主人公の純市が絢奈の弱さや真面目さなど、彼女の本質に気づき、その人間性を理解していくにつれて、私たち読者も(あまりにも型破りなキャラすぎて)今まで感情移入しにくかったヒロインのことを一人のか弱い女の子だと思うようになり、彼女の元気が無かったら主人公と一緒に心配するようになります。(少なくとも、私はそうでした)

そして、終盤のクリスマスのエピソード。ネタバレになるから詳しくは言えないけれど……。

ここまで純情100%のラブストーリーになるとは思いませんでした!

ハッキリ言って、絢奈がすごく可愛い! このヒロインにこんなにも胸キュンさせられる時が来ようとは……!
全カクヨムが泣いた!(←アメリカ映画の宣伝風)

冗談抜きで、恋愛小説を書いてみようと思っている方は、この作品を一度読むことを強くおすすめします。作者様の恋愛に対する真摯な気持ちが溢れんばかりに詰まった名作です。

最後に……とあるキャラの本性は予想外すぎて、思わず椅子から転げ落ちそうになりました……。(何を言っているのか分からない人は、本編を読んで確認してみよう!)

長文失礼いたしましたm(__)m

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