高校生が婚活をするという、発想がまず斬新でした。冒頭からの引きがすごいです。
そこから繰り広げられる、恋愛についての奥深いテーマ。
曖昧で不確かなもの、だから不安になる。目に見えないから、なおさら約束がほしい。
生き生きとした主人公たちの会話に引き込まれ、読者を飽きさせません。
そして、ミステリーのような緻密な構成や伏線に導かれ、ラストの美しさにため息が出ました。
恋愛を、底辺✖️高さで表そうとした方をふいに思い出しました。
もし恋愛が確実なものだとしたら、私たちは恋に焦がれることが出来るでしょうか。
痛みに憧れて、早く大人になりたいと少女は願うでしょうか。
まるで蜘蛛の糸にからめとられるように外堀から内堀を埋めていかれ、身動きできなくなっていく主人公。
良識のある彼の冷静なツッコミの心理描写が最高に面白い。
でも、恋愛に対して打算と妥協で諦観しているヒロインに、それでいいのかと読者としてはツッコミたくなる。きゅん、は? と。
それでもヒロインのむちゃぶりとそれに巻き込まれる主人公が面白く読み進めていくと……。
黒幕から芋づる式に出てくる事実。次々に明かされる真実には、ミステリーをよんでいるかのように驚かされました。
”彼女”の真実も。
散りばめられたパズル、パラドックスを紐解いていくなかで、ストーリーが大展開。ここからそう来るのか~!
もうもう、いろんなモノが詰めこまれた、最高の作品です。
ご一読あれ。
最終話での「ちょっと前からすきでした」がツボにはまりました(笑)
結婚は人生最大のイベント。そんな言葉を耳にしますが、タイトル通りこの作品ではそれを全面に押し出しています。しかし、年齢はなんとまだ縁のないであろう高校生。異色の組み合わせに思われがちですが、内容はビックリするぐらいリアル感半端ないです。考え方や行動、そして順序立てて綴られる物語はもうまさに婚活。忙しなく婚活する絢奈ちゃんがまあ可愛い。
でも、何も華やかな事ばかりではありません。不安な想いが時として障害になり、様々な葛藤から結婚を遠ざけることもあるでしょう。そんな『現実』を当作品は正面から、そして濁すことなく直球に描かれており、それがまたこの作品の魅力を引き立たせていたと感じられました。
本腰を入れて活動する大人でさえ迷うのに、まだ高校生の少女と少年ではそれが顕著に出るのも明白。しかし、その困惑さがどこか微笑ましく、途中からは応援したくなりました。
最後に彼女達は『恋』を通り越し『愛』知る。長々と書きましたが、完璧な恋愛小説ではないかと断言できます。
恋愛・ラブコメは、私の主戦場ではない。
そう言い訳をしたくなるほど、物書きの端くれとして「負けるわけにはいかない」という意地を持って読ませて頂きました。
それでも尚、読み進めることを止めることが出来ず、ラブでコメるシーンにニヤニヤしながら文字を追う。奇をてらったキャラクターの妙、納得のいく設定、緻密な舞台背景、引き込まれるストーリー展開、感心しつつ結末に至るカタルシスに、思わず……
この作品には、同じ土俵で勝てる気がしねえ……!
読了! 全31話! 163,335文字!
文字数とか、文体とか、テンポとか、そういうんじゃない。
作品の魅力に、引っ張られてしまった!
婚活を提示し、市場価値や打算の上で交際を……否、結婚を申し込むようなヒロインを、ここまで正統派に昇華させてくるとは! くそう! お見事だろ! くそう! 作者さまっ!! くそう! 恋愛マスターめッ!!!
男子のドライさと女子のウェットさを散りばめ、ときに軽く乾いたコメディを挟み、ときに重くぬめるミステリーさえ差し込みながら、一本しっかりとした恋愛ストーリーを練りあげてくるなんて……!
断言する。
カクヨムにおいて、この作品を読まずにいることは損失である!
問おう。
何故、レビューを書かずにいられるのかを!
嫉妬した。
私如きがと、お思いかもしれないが!
いつか必ず、作者さまを唸らせる作品を書き上げてみせる。
手放しで絶賛しておきながら、私の奥歯はギリギリと歯軋りをしているのである。
ああ、もう! ★3もレビュー書くのも悔しい!
愛と呼ぶには幼すぎて、恋と呼ぶにも歪すぎる。
重い想いを思いながら、何とか私は、このレビューを終わらせる。
コペルニクス的大転回が作中の例示として語られていますが(発想の転換という意味で)、本作もまた、テーマ通りの「ねじ曲がった異質さ」を主張してやみません。
通常のティーンズ向けラブロマンスで踏まえるべき「純情」や「情熱」や「一途さ」と言ったものを、とことんひっくり返した「コペルニクス」的作品。
「打算」と「妥協」と「諦観」による、冷め切った恋。
10代のくせに結婚を見据えているだとか、折り合いを付けて無難に生きるべきだとか。
こまっしゃくれた屁理屈で粉飾した、背伸びしまくりのひねくれまくった人生観が、正統派ラブコメを期待して来た読者へ容赦なくカウンターブローを叩き込みます。
恋愛の定石を外しに外した、あえて逆の手を打ちまくるとどんな小説が完成するのか…という挑戦を受け取りました。
正直に言いますと、本作に登場する女性キャラクター、ほぼ全員が非常に鼻持ちなりません(笑)。
男子の心情などお構いなし、女子の都合だけで振り回しますから…(笑)。
近江先輩の結末なんて悲惨の一言ですからね、取り巻き女子どものワガママに引きずり回されてメランコリーになりました。可哀想すぎる…。
しかし。
話の本質はそこではなかった。
目を見張るべきは、そこに至る一連の謎解き。
主人公の個人情報をめぐる女子たちの思惑と犯人探しは、一種のミステリーを読んでいるような探究心をそそられます。
そこから再び怒涛の大転回。
一周回って「打算」が「純情」に成り代わる瞬間のカタルシスには舌を巻きました。
今までのフラストレーションを吹き飛ばす終盤の筆さばきは圧巻の一言です。
クリスマス、ジンクス、展望台、あらゆる舞台装置を集約させて主人公に純愛を決意させる、ポエトリーなあの台詞。
いやぁ、まんまと転げ回されました。
喜怒哀楽ぜんぶ詰まってます。お約束や定石ではない「本物の感情」に揺さぶられてみて下さい。
「婚活する女子高生」という設定を「スゴイ発想だぞ、これは!」と思って読み始めた本作。
冒頭から打算まみれな恋愛&結婚観のヒロイン・絢奈のぶっ飛んだキャラクター性が面白く、ぐいぐいと物語の世界に引きこまれていきました。
主人公・純市が、良識があって人の気持ちも汲めるような人物のため、共感が持ちやすいのもプラスになったと思います。
純市がヒロインの奇抜な言動に呆れたり慌てたりするたびに、読者も主人公の気持ちにシンクロして「急に何するんだ、この子は!」と同じようにヒロインに振り回されることができ、とても楽しかったです。
そして、我々読者にとっても他人事とは言えないのが、本編でたびたび言及される「恋愛市場価値」……。
はっきり言って、今の私の恋愛や結婚の市場価値ってどれくらいなんだろうか……。かなり底辺に近くないですかねぇ……(震え声)
あと、「近江同盟」のくだりはちょっと背筋が寒くなりました。女の子、恐い!
とにかく、この物語は途中まではロマンチックなラブストーリーなんて到底望めないのではと思ってしまうような展開が続きます。だって、ヒロインが打算まみれなんだもの。
しかし、絢奈が婚活を始めた事情、そして、彼女が恐れるものが明かされるあたりから、この物語は単なる「打算まみれな女子高生の婚活ストーリー」ではなくなっていったと思います。
主人公の純市が絢奈の弱さや真面目さなど、彼女の本質に気づき、その人間性を理解していくにつれて、私たち読者も(あまりにも型破りなキャラすぎて)今まで感情移入しにくかったヒロインのことを一人のか弱い女の子だと思うようになり、彼女の元気が無かったら主人公と一緒に心配するようになります。(少なくとも、私はそうでした)
そして、終盤のクリスマスのエピソード。ネタバレになるから詳しくは言えないけれど……。
ここまで純情100%のラブストーリーになるとは思いませんでした!
ハッキリ言って、絢奈がすごく可愛い! このヒロインにこんなにも胸キュンさせられる時が来ようとは……!
全カクヨムが泣いた!(←アメリカ映画の宣伝風)
冗談抜きで、恋愛小説を書いてみようと思っている方は、この作品を一度読むことを強くおすすめします。作者様の恋愛に対する真摯な気持ちが溢れんばかりに詰まった名作です。
最後に……とあるキャラの本性は予想外すぎて、思わず椅子から転げ落ちそうになりました……。(何を言っているのか分からない人は、本編を読んで確認してみよう!)
長文失礼いたしましたm(__)m
婚活女子高生が主人公にいきなり結婚を前提に交際を申し込もうとするところからスタートします。
ヒロインの希月さんもキャラも面白いですが、冷静にツッコミを入れる主人公の心情描写もおもしろいです。
ラブコメに分類されると思いますが、決してくだけた文体の小説ではないです。
むしろ、作者の坂神慶蔵氏の文章力はかなり高いのでないかと思います。
心情描写を、ここぞという絶妙な言葉で表現します。
また、進学校と設定で、登場人物の発言は知的であり、読者の心にズシッとくるセリフもあります。
27話まで拝読しました。
希月さんと主人公の純市くんが、今後どのようになるのか。続きがとても気になっています☆