主人公のヒロイン達への渇望と葛藤、そして揺るがない絶望感がピカイチな所がとても魅力的であり、重い物語でも惹きつけられました。
願ってももうどうにもならない、こういったお話は途中で読むのを止めてしまうのですがこの作品は物語の抑揚がテンポ良く、ホラーでありながら日常の在り方も楽しめると言う所も面白いです。
この作品は『吐き気を催す程の絶望があります』というキャッチコピーで、これからの『絶望感』の加速に期待ですね。
最後にホラー作品とジャンル分けされていますが、ジャンル問わずお薦めの作品です。
作品に比べてこんな陳腐なレビューですがぜひぜひ、呼んでみてくださいね!!
あくまで個人的な意見ですが。
ホラーの要諦って、絶対値としての怖さだけではなく、快楽と恐怖とか、希望と絶望とか、緊張と緩和とか、そういう相反する要素の緩急で、どれだけ読者の感情を揺らすことができるか、なのだと思っています。
前置きが長くなりましたが、本作は、とかくその緩急のつけ方が巧みでして。
小学生の時分はキョンシーですらまともに見れなかったというビビりな私ですが、どうしても先を進める手を止めることができませんでした。
怖くて痛いのに、この希望もどうせ絶望に塗り変わるとわかっているのに。
結局、手玉に取られて最新話まで読んでしまいました。
ホラーとして、エンタテインメントとして、一級の作品だと思います。
絶望は、逃れられないから絶望なんだろう。
驚いて怖くて気持ち悪い。そういうホラーの一般的な楽しみはこの物語にもある。
だが、この物語が何よりもホラーであるのは、その救いのなさ。
それは、不条理な結末だとかの安易なオチではない。
救いのない絶望が、この物語を初めから最後まで貫き通しているのだ。それもひたすらに、淡々と。
読み終えた今も、この物語に生きる彼らのことを考えている。
絶望しかないのだろうな、と。
その日々を笑顔で過ごすんだろうな、と。
そんな実に重苦しい余韻が読後にもずっと離れてくれない、すばらしいホラー小説だった。
ああ、救いがないなあ……。
うん、この読後感こそいいホラーの証ですねえ。
それから、Interludeの一話目がものすごく大好き。これは惚れてしまう狂気ですね。
エピローグの後なのに、さらに心を奪われてしまいました。
未読の人はここまで早くたどり着いて、あの狂気を私と一緒に愛しましょう。ぜひ。
いやー、最高でした!
僕はホラーが嫌いだ。何度触れても慣れないし、終わった後いつも後悔する。
「僕の妹はバケモノです」についても同じ。この作品を心から好きになることはどうやってもできそうにない。天使みたいな妹が出てきても、ちょっと天然な幼なじみが出てきても、その答えは変わらない。
でも読んでしまう。
画面をスクロールする指を止めることが出来ない。
「もうだめ……」
「うああああ!!」
「これ以上読んだら……!!」
何度顔を歪ませたことだろう。何度叫び声を上げただろう。何度次の話を見るのを止めろと自分に言い聞かせたことだろう。
読者は何かがズレている、でもそれが何なのか今ひとつはっきりしない、という違和感を抱えたまま、後手に回って物語を追いかけていくことになる。そしてだんだんと、でも確実に忍び寄ってくる悪夢を見せられる。
読了後、強い後悔が押し寄せた。
心筋に黒いナニカがへばりつくような不快感を感じた。
でもしばらくするとまた読んでしまうのだ。
あの怖さ、あの不快感、あの悍ましさをもう一度確かめたいと、そう思ってこの小説を開いてしまう。
次読めばもしかしたら大丈夫なんじゃないか。あの恐怖はただの夢で、僕の幻覚で、本当は優しくてキラキラした物語だったんじゃないか。そんな愚かな考えがふと脳を掠める。
そんなことはない。この小説には想像を絶する悍ましさと恐怖が眠っている。
そんなことは分かっているはずなのに。読んだら絶対後悔するのは自明であるのに。
僕はまたこの小説を読んでしまうのだろう。
あの恐怖(快感)をもう一度味わいたくて。