王道直球ファンタジー群像劇

ハイファンタジーは既に飽和状態な昨今で、それでもここまでストレートな物語に挑戦した姿勢は見事だと思います。
個々の戦闘だけでなく戦略的な範囲にまで広がる対立関係、練りこまれた各登場人物の描写、そして何より読みやすい文章など、直球であるが故にその魅力も分かりやすく伝わってきました。
これだけのボリュームがある作品でありながら、大きな破綻や矛盾もなく、物語の骨組みが緻密に設計されているのかなとも思いました。
ただ群像劇の弱点として、多角的な視点のために各人物の印象が薄れ、展開などもオリジナリティという部分では他作品との差別化が弱いように感じました。
戦闘シーンなどは目を見張るものがあり、作品の魅力としての『武器』がハッキリしているため、キャラ個性やストーリー展開などの要素も色濃くなれば、更に熱中できる作品になると思いました。

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