自分の国を守るために戦った王が90年の眠りにつく。
本人も気がつかない内にどんどんと若くなっていく。
え?まさかの若くなっちゃうの?と思ってしまった辺り
設定が巧みに出来ていて唸ってしまった。
そしてのんびりとした平穏な日常と住人に、
いつ攻められてもおかしくない状況だと気づき、
いつかの戦いの為に奮闘する王。
王道のハイファンタジーとしてもこれは純粋に面白い。
と軽く作品の魅力をピックアップしました。
大分前に読んでいた作品ではあるのですが、読みやすさがやはりいいのか、はたまた中世的な世界観がいいのかまた読み返したいと思うくらいに良い作品なんですね。
元々こういったファンタジーものは好きだったので、最初に読んだときはびっくりもワクワク感もあってんどん読み進めていって、途中で少し泣いたところも(笑)
主人公に関しては物語を通じて好きなんですが、彼の人間性に惚れてしまうくらいです。
読んでみて損はないと思います。
あえて付け加えるなら、ショタジジイは可愛い!←
宿敵との戦いを終え、眠りについた王が目覚めたとき、90年の歳月が流れていました。かつては精強だった自国は見る影もなく、数年先に戦が予見されているというのに平和ボケしている始末。
兵力は1/10まで落ち込み、信頼してくれる者すらわずか数名。国内にも王を疎む者が多い。そんな状況のなかで、圧倒的な力を持つ敵国に備えなければいけない。
控えめに言っても詰んでいる状況です。そんな絶望的な状況を覆すため、王は奔走します。しかし、そう簡単にことが運ぶわけもなく……。
つねにギリギリの綱渡りをし続ける王(主人公)から目が離せない、そんな作品です。著者はカタルシスのなんたるかを理解しているように思われるので、おそらく主人公は勝利するでしょう。しかし、それはどうやって? 何が起こりそうなるのか?
私にはこの状況から主人公が逆転する未来が見えません。だからこそ、どのような物語が展開されるのか期待に胸が高鳴ります。強大な力を持つ“不滅王”と、その配下たる7人の不老の将に挑む、“スリーピング・マジェスティ”。彼は、どのような逆転劇を私たちに見せてくれるのでしょうか。それが楽しみでなりません。
まず、設定の奇抜さに拍手を送りたいです。
考えそうで皆がおそらく敬遠していたであろう、
主人公本人が眠りで時間を超えていくという設定。
これはかなり素晴らしいと思います。
なぜなら、まず、現在どうなっているかを、
何も知らない読者がヴラマンクと共に理解していける。
そして、どうなったかをワクワクして読める。
逆に敬遠するであろう理由は、扱いが難しい。
下手をすると読者が置いてきぼりになりやすいからです。
しかし、そこも計算の上で進めている節がある。
そして、魔法のような概念がありながら、
かなりリアリティを詰め込んでいると思います。
まず、戦闘。剣術の戦闘ですが、シーンを想像しやすく、
また、おそらく著者もある程度やったことがあるのかな?
と思わせるリアルさを感じました。(突きの腕の伸びなど)
私もドイツ剣術を体験で受けてはいましたが、
何かしら経験していないと分からない細かい所も、
さらりとわかりやすく描かれているように思います。
さらに、王政・国教などのリアル追求。
著者は実在の西欧中世をきちんと調べていると思います。
(これは私が西欧中世研究会に所属しているので、
なんとなく詳しくなったため、たまたま気づいたのですが)
騎士としての在り方や、王政の運び方、
国教のあり方と腐れ具合(笑)。
農民が養える騎士の数や民の数、
調べた上で、結構プロット練って組んでますね!
それがきちんと為されているからこその、
繊細な描写や魔法表現が光っていると思います。
こちらも目を離せませんね。
ゆっくりと先を楽しませて頂きます!