閉ざされた世界が少しずつ広がっていく。

まず感じるのは、主人公周辺がとても閉鎖的であるということです。

『果ての壁』はもちろん、街の人々の冷たさは、主人公の生活の閉塞感をよく表しています。

個人的に一番象徴的だと思ったのは、広大で多量の書物を収めている図書館に、街の人々がまるで無関心だということ。そこにある知識の泉にそっぽを向いていることは、街の人々が現在の生活で何も不満がないことだと思います。

だからこそ、主人公ノルドの好奇心や知識欲がコントラストになってよく映えるのでしょう。

壁を乗り越えようとする。本を探す。主人公の行動一つ一つがこの時の止まったような街では異質であり、だからこそ物語を読む我々には魅力的に映ります。

天使や悪魔に魅了された少年が、これからどのように歩んでいくのか、とても楽しみです。

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