概要
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- ★★★ Excellent!!!悔恨の彫琢は、やがて鬼神を顕す
山頂に響く、鑿と槌の音。
それは大気に鬼神を彫る音であるという。
彫っているのは、かつて人間だった男。
村を襲う災厄を退けるために、男は岩壁に守護鬼の像を彫り始めた。
だが彼の労苦のかいもなく、像は崖ごと砕けた。
しかし、なおも諦めない男は中空を彫り始める。
やがて彼は、人の姿を捨て去った。
前半で描かれるのは、常軌を逸した執念だ。食事や睡眠、そして痛み。
およそ人の持つ欲望や感覚を捨てて、男はひたすらに硬い岩を彫り続ける。
その行いは狂気である。
彼が彫る鬼神は醜悪で巨大な存在。
それは、あらゆる邪悪がひれ伏す存在だ。
つまりは切実な願いの形だった。
一話に続く各話のタイトルの動詞…続きを読む - ★★★ Excellent!!!なぜ掘るのか それすら忘れてしまった鬼は、しかし誰より強く優しかった
重厚な語り口により紡がれる、圧巻のひと作です。
ある男が救いを求めたのは、神や仏ではなく鬼であった――。
この心境に至るまでに、彼に積み重なったもののことを思うと、それもまたやむなしと言いたくもなりましょう。
一心不乱に鬼を求め、己が鬼となってもなお、鬼の像を掘ることを辞めぬ執念。
しかし、鬼の像は賽の河原のごとく、時に欠け、時に砕け、いつまでたっても完成しない。
それでもなおその度に直し掘り続ける様には、まさに鬼の如き狂気じみたものを感じさせます。
が、その一方で、現代に時が移り、件の民間伝承を調べに来たオカルトライターの語りもまた、表情が大きく変わって物語の多面性を引き出しており、陰…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人の業(罪)の浄化(償い)を成す術とは
人とは何か
それは人の理の中にある「思考」と「考慮」、そして「技(業)」の範疇にある
獣とは何か
それは自然と作られた「本能」と「感情」、そして「行動(テリトリー)」の範疇にある
では、神や鬼などの人成らざる者とは……
自然の規模が大きいモノ、災害や厄災は様々な神の象徴とされる
神という存在に近いのは、そんな自然の一部に身を置く「獣」か
それとも
思考と業(技)の超越された、洗練の先にあるのだろうか
どちらにしても
それは行動(業と結果)次第かもしれない
この物語の登場人物の全てが
どういった業を残すのか
無機物なる偶像か
有機物なる人造か
伝承される形と容は、何を意味するのだ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!鬼になること
掘る。とは、それこそ輪郭を作っていき、命を生み出す事である。
その山の麓の村には、不可思議な伝承がある。
山から『空気を掘っている』音がするというのだ。
子供でもわかる。何もない所に、掘るものはない。
それでも人知れず、彼は常に鬼を掘っており、もはや鬼を掘ることが彼の人生となり、
いつしか彼が鬼になっていた……。
一見すれば、昔話に通じるような伝承。そのような物語にも見ることができるのですが、
別の見方もあると感じました。
それは、何かを「続ける」ということの意味についてだと思います。
例えば、……まあなんでもいいのですが、何か思いついて楽器を始めたとする。
思いつ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一話目で完結かと思いきや、オチでここまで綺麗に完結するとは思わなかった
最初、この作品を読んだ時に、あまりにも一話目の完成度が高いので一話完結だと思ってしまいました笑
続きのページがあると気づいて、よく見たら4話構成なんですよね。
この方の作品の人気シリーズの最新作で、これだけ読んでも十分理解できるんですけど、シリーズ全部面白いのでおすすめします!
最初の作品は「話を聞かせて」だったと思います。「エッグノッグ」というタイトルの作品も同じシリーズですが、おすすめですよ(*'▽')
話が逸れましたが、こちらの作品は人物の背景も深く、読者も深く考えさせられる内容でありながら、古風な怪奇ホラーと現代のミステリーホラーが合わさったような作品です。
とても読みやす…続きを読む